Smoltがイクラ受注生産を開始
株式会社Smoltが、完全養殖のサクラマスを原料にしたイクラの受注生産を2026年度より開始すると発表しました。この動きは、最近の地球温暖化がもたらした秋鮭の資源減少を受けたものです。日本の近海における秋鮭の来遊数は、過去20年間で約60%も減少しており、この影響で国内のイクラ市場は輸入に依存せざるを得ない状況となっています。
秋鮭資源の深刻な危機
水産庁のデータによると、2023年度の秋鮭の漁獲量は1980年代のピーク時と比べて約70%もの減少を記録しています。このため、国内のイクラ供給も非常に難しくなり、外部要因に大きく左右される輸入品に依存する傾向が強まっています。このような厳しい環境の中、Smoltは自社の養殖技術を駆使し、持続可能なイクラ生産システムの確立に挑んでいます。
新たな受注生産の内容
生産体制について
- - 受注開始時期: 2026年度の生産は2025年10月より受け付け
- - 納期: 2026年11月から順次
- - 納品形態: 原料、醤油漬け、塩漬けなどが可能
- - 生産能力: 目標は10トン
- - 受注対象: 商社、食品加工業者、外食チェーンなど
商品の特徴
- - 完全養殖による持続可能な生産
- - 高い品質を保つための管理された環境
- - 生産履歴のトレーサビリティを実現
- - サクラマス特有の上品な風味
完全養殖技術の優れた点
Smoltは2019年に設立されて以来、宮崎県において完全養殖のサクラマスの生産技術を刷新してきました。特に「つきみいくら」の生産を通じて得た技術の蓄積があります。今後の生産においては、次のような取り組みが強調されています。
1.
高温耐性の養殖技術
- - 20℃前後の高水温環境における安定養殖
- - 6世代にわたる選抜育種によって改善された品種
2.
魚卵生産の最適化
- - 産卵時期の調整技術
- - イクラ加工と保存技術の確立
市場への貢献と持続可能性
この新たなイクラ生産の取り組みにより、次のような効果が期待されています。
1. 国内自給率の向上
2. 為替変動や国際情勢に影響されにくい安定した価格供給の実現
3. 新たな産業の創出
4. SDGsへの貢献: 食料安全保障や持続可能な生産の推進
パートナー募集
安定したイクラ供給体制を構築するため、以下の事業パートナーを広く募集中です。
- イクラ生産用サクラマスの養殖を委託できる事業者
- イクラの加工および製品化が可能な事業者
Smoltの取り組みは、単なる生産の枠を超え、地域経済やエコシステムにも大きな影響を及ぼすことでしょう。これからの持続可能な食の未来を切り拓く確かな一歩となります。