JICA海外協力隊の60周年を祝うラウンドテーブル：新たな挑戦と未来への展望

JICA海外協力隊の60周年ラウンドテーブル

2025年に60周年を迎える####独立行政法人国際協力機構（JICA）の海外協力隊事業。その記念すべき節目を祝うため、2025年10月6日には、ボランティア経験をもとに社会で活動する多彩な帰国隊員たちが集まり、彼らの経験と新たな取り組みについて語るラウンドテーブルが開催されました。

開会の挨拶

イベントの冒頭では、JICAの青年海外協力隊事務局長である大塚卓哉氏が登壇し、JICAが掲げる目的を改めて強調しました。具体的には、「開発途上国の経済・社会の発展への寄与」や「異文化における理解の深化」「ボランティア経験の社会還元」などです。また、「現地の人とともに」という理念のもと、これからも日本と海外の相互発展に寄与する存在を目指していく意向を示しました。

多彩な登壇者の発表

このラウンドテーブルには、様々な分野で輝かしい実績を誇る4名の帰国隊員が登場しました。彼らはそれぞれの国でどのように活動していたのか、また、その経験をどのように現在に生かしているのかを語りました。以下、その要旨をお届けします。

杉下智彦氏（医師）

杉下氏は1995年度の隊員としてマラウイに派遣され、現在は屋久島尾之間診療所の院長を務めています。彼は、現地で得た経験を基に、高齢化社会における医療課題に向き合っています。「医療の奥地前進」を目指し、医療が行き届かない地域での課題解決に取り組む意思を示しました。

吉成絵里香氏（起業家）

2015年度にカンボジア派遣を受けた吉成氏は、現在は環境教育に従事する会社の社長です。彼女はカンボジアでの活動を通じて環境問題に直面し、「日本の林業の未来」を見据えた起業を決意されたとのこと。持続可能な社会を構築するために挑戦を続けています。

大河原沙織氏（環境教育）

大河原氏は、2018年度の隊員としてペルーで活動し、保護区での環境教育を行っていました。帰国後も旭山動物園に勤務し、「動物たちが生きる現状を知ってほしい」との願いを語り、動物保護に貢献する活動を続けています。

山本岳人氏（番組制作）

2021年度の隊員で、ベトナムでネットメディアを活用した番組制作を手掛けた山本氏は、帰国後もインフルエンサーとして日本とベトナムの架け橋になるよう活動しています。「地域間の相互理解を深めるために、もっと発信していくべきだ」との考えを示しました。

新たな取り組み「科学技術協力隊」

最後に、青年海外協力隊の国内担当次長、内山貴之氏が「科学技術協力隊」という新しいスキームについて発表しました。これは、日本の若手研究者を途上国の高等教育機関に派遣し、そこでの共同研究や現地の研究員への指導を行うことで、国際頭脳の循環を促進することを目的としています。

60周年のイベント展望

JICA海外協力隊は2025年を60周年記念として位置付け、年間を通してさまざまな周年事業を計画しています。已有の戦略とともに、過去の成果を評価しつつ、未来に向かってさらなる発展を見据えて活動を続けているのが印象的です。特に11月13日には東京国際フォーラムで60周年記念式典が予定されています。これからもJICAの活動に注目が集まることでしょう。

詳しい情報やイベントの詳細については、JICAの特設サイトをご覧ください。