企業における「つながらない権利」の実態と今後の展望
「つながらない権利」は、勤務時間外に仕事に関する連絡を拒否する権利として注目を集めています。そこで株式会社帝国データバンクは、企業を対象に「つながらない権利」の対応ルールに関する調査を行いました。
アンケート調査の概要
調査は2026年3月6日から3月10日にかけてインターネット上で実施し、1,232社から有効回答を得ました。結果として、勤務時間外に連絡を行う際の企業のルールがどのようになっているかが明らかになりました。
企業のルール状況
調査によれば、「つながらない権利」に対応するルールを持つ企業は全体の11.6%にとどまりました。ルールが無い企業は86.6%と圧倒的多数を占めています。また、ルールの有無を問わず、勤務時間外に連絡をする企業は70.0%に達し、実際には多くの企業が勤務時間外でも連絡を行っていることが分かります。
具体的には、「ルールがあり、勤務時間外に連絡しない」とする企業は1.9%、「ルールありだが、連絡することもある」は9.7%でした。逆に、ルールが無い企業は「勤務時間外に連絡しない」と答えたのが26.3%で「勤務時間外に連絡する」は60.3%でした。
大企業と中小企業の違い
企業の規模別では、大企業の中では13.9%がルールを持ち、勤務時間外に連絡する企業は79.8%でした。一方、中小企業ではルールが無い企業が全体を上回り、勤務時間外に連絡しない企業も多く見受けられました。この対比は、業種や企業文化の違いに大きく依存していることを示しています。
必要な取り組み
「つながらない権利」を進めるためには何が必要かを尋ねたところ、「明確なガイドライン策定」が49.3%で最も多くの企業が必要と認識していました。次いで「管理職への意識改革・研修」が44.1%、「従業員への意識改革・研修」が40.6%でした。
企業側からは、「緊急ケースに対するガイドラインが必要」や「例外的状況でも柔軟に対応するためのルール作りが重要」といった意見がありました。業種特性に応じた対応が求められる場面もあり、特に顧客からの連絡が避けられない業界では業務の特性を考慮したルールの策定が必要とされています。
緊急連絡体制の必要性
また、企業の中には「緊急時には夜間でも電話が必要」といった意見が寄せられることも。特に、自然災害や健康問題、忌引きの連絡など、やむを得ない事情が発生する可能性は常にあります。こうした状況下では、企業がどのようにして「つながらない権利」を尊重しつつ必要な連絡ができるかが今後の大きな課題となりそうです。
勤務時間外の連絡に関するルール作りは、社内の意識改革や業務の共有化を進める重要な機会になるでしょう。今後の制度設計にあたっては、企業がどれだけ柔軟に対応できるか、また、一律にルールを適用するのかがカギとなってきます。
まとめ
現代の仕事環境では、いつでもどこでも連絡が可能という状況が続いています。そのため、「つながらない権利」に関する議論は不可避です。全ての企業がルールを持つことが理想ですが、多様な業種においてはそれぞれの実情に基づいた対応が求められます。今後、業務とプライベートの切り分けを進めるための取り組みと議論が進むことを期待します。