再春館製薬所とWatasumi、化粧品廃液のエネルギー転換に挑む
再春館製薬所(熊本県)と沖縄のスタートアップ、Watasumi株式会社は、化粧品業界の環境課題解決に向けた共同実証実験を開始しました。これまで処理が困難だった高濃度の化粧品廃液を、Watasumiが持つ微生物燃料電池技術を用いて分解し、同時に再生可能エネルギーを創出することを目指しています。
研究背景と目的
化粧品業界では、防腐剤や油剤、粉体などが製造プロセスで生じる産業廃棄物として問題視されています。特に、防腐剤や酸化チタンなど、分解の難しい成分が含まれる廃液は、環境負荷を増大させる要因です。再春館製薬所は「人間も自然の一部」という理念のもと、自然との共生を追求し、廃液を単なるゴミから価値ある資源へと変える挑戦を行っています。
Watasumiは沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究成果を基に設立された企業であり、微生物を利用して有機廃水からエネルギーを取り出す技術が特徴です。過去の実績は飲料廃水処理が中心でしたが、化粧品廃液の処理という新たな挑戦に挑むことで、業界の持続可能性を高める可能性があります。
実験の詳細
2025年7月から実施されるこの実験では、再春館製薬所の主力製品「ドモホルンリンクル」の廃液が使用されます。生成されるバイオガスや電力を用いて、これまでの処理方法を超えた持続可能なモデルの確立を目指します。複雑な化粧品成分がどのように処理されるかを検証することが、この実験の鍵となります。
目指す未来
このラボテストから得られるデータは、化粧品業界のサステナビリティ向上にとって欠かせない要素です。成功すれば、業界全体に新たな革新をもたらす可能性が高まり、環境負荷の軽減に寄与するでしょう。実験結果を基にしたパイロットプロジェクトの実施も予定され、さらなる発展を目指します。
両社のコメント
再春館製薬所 経営責任者 井手芳信は「高いハードルに挑むことで業界の未来を明るくしたい」と述べ、
Watasumi CEO David Simpsonは「成功すれば持続可能な社会に大きな影響を与える」との期待を寄せています。
企業情報
再春館製薬所は、1932年に創業以来、「痛散湯」や「ドモホルンリンクル」などを提供してきた漢方理念に基づく企業です。自然との共生を大切にし、社会全体の循環を目指した新しい価値創造へ挑戦する姿勢は、近年の社会的要請に応える形で一層重要性を増しています。これからも同社の継続的な取り組みに注目が集まります。