令和8年から義務化される石綿事前調査
令和8年1月1日以降の工事において、石綿の使用の有無を調査する「工作物石綿事前調査」を行うことが義務付けられます。これは、業界における石綿対策を強化するための重要な措置です。特に、反応槽や加熱炉、ボイラー、圧力容器、配管設備等の工事に従事する場合、資格を保有する「工作物石綿事前調査者」が事前調査を実施する必要があります。
資格取得の意義
この制度の背景には、石綿の危険性を理解し、適切に取り扱うための専門的な知識が求められることがあります。石綿は、長年にわたり建設業界で広く使用されてきましたが、健康に対するリスクが指摘されているため、しっかりとした調査が必要です。これにより、作業従事者や周囲の人々が石綿による健康被害から守られることを目的としています。
資格取得の方法と流れ
資格を取得するには、都道府県労働局に認定された講習機関での受講が必要です。原則11時間の講習を受けた後、修了考査に合格することが求められます。令和7年11月から、厚生労働省がオンラインでの資格取得を推進するキャンペーンを展開しており、受講者を増やす方向で取り組んでいます。特に、義務化が近づくにつれて、講習の予約が取りにくくなることが予想されるため、早めの受講が推奨されています。
調査対象となる工作物
具体的には、以下のような工作物が調査対象となります。
- - 反応槽
- - 加熱炉
- - ボイラー
- - 圧力容器
- - 配管設備
- - 焼却設備
- - 電気設備(発電・変電・配電・送電設備)
これらの設備に関わる工事では、石綿事前調査者の調査が不可欠です。特に大規模なビルや工場、商業施設の作業においては注意が必要です。工事を円滑に進めるためには、事前に資格を取得し、適切な調査を行うことが大切です。
パトロールの実施
さらに、厚生労働省は、令和7年10月から11月にかけて、国土交通省と環境省とともに全国一斉の石綿対策パトロールを実施します。このパトロールでは、現場指導や監視を徹底し、石綿に関する情報を広めることが目的です。これにより、より多くの業者が新しい制度に適応し、石綿調査の義務化に向けた準備を進めることが期待されています。
まとめ
令和8年から始まる石綿事前調査の義務化は、工事現場での安全性を高めるために不可欠です。これを機に、建設業界全体で石綿対策を見直し、しっかりとした調査体制を整えることが求められています。資格取得を通じて、事故を未然に防ぎ、健康を守るための第一歩を踏み出しましょう。