2025年度新入社員意識調査が示した仕事観の変化と意欲
一般社団法人日本能率協会(JMA)が実施した「2025年度新入社員意識調査」により、657人の新入社員の仕事や働くことに対する意識が明らかになりました。調査は2025年4月1日から11日にかけて行われ、その結果は今後のキャリア形成に役立つ情報を提供しています。
調査の概要
この調査は、新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象にしています。毎年同様の調査が実施されており、コロナ禍の2021年を除いて経年比較が行われているため、時代の変化に伴う意識の変容を明確に把握できる特徴があります。
主なトピック
1. 一つの会社での長期勤務と副業への意欲
調査結果によれば、定年まで一つの会社に勤めたいという意向が増えており、特に「一つの仕事を長く続けて専門性を磨きたい」という意向が高まっています。これに加えて「副業・兼業をやりたい」という気持ちも強くなっており、安定志向と新しい挑戦を求める意識が両立していることがわかりました。
2. キャリアイメージの低下
自分のキャリアを描いている新入社員は約5割に留まっており、前年から10ポイント減少しました。キャリアイメージを描く期間としては、主に「3年から10年先」を想定していることが多いです。この数字の低下は、不透明な社会情勢が影響していると考えられます。
3. 働く目的の多様化
働く上での目的について、特に「自分の能力を高めること」や「新しいことにチャレンジすること」といった内面的なモチベーションが重視されています。また、理想とする上司としては、「部下の意見を傾聴する」ことが上位に位置しています。
調査データが示す新しい働き方
調査の結果、仕事に対するアプローチが大きく変化していることが見て取れます。
特に、仕事での失敗を避けたい意向や、人間関係が良好な職場を求める意識が強くなっています。また、海外での勤務に対しては、6割以上が受け入れないと回答しています。
5. 身近なAI活用への意欲
AIについては、約9割が仕事のやり方が変わることを認識しています。また、既に多くの人がAIを利用しており、特に「ChatGPT」が広く使われていることが調査からわかりました。これにより、デジタルリテラシーやAI活用が新入社員にとっての重要なスキルと思われています。
結論
この調査から、新入社員の意識の変化を読み取ることができます。安定した職場で専門性を高める一方で、副業やAIの活用を通じて自らを成長させようとする姿勢が非常に強いことが印象的です。企業はこれらのニーズに応え、職場環境を整備することが求められます。現代の新入社員は、高度な成長意欲を持っており、その期待に応えることでより良い労働環境を築いていけるでしょう。