カナダの美しき原生林を守るために
日本全国で展開されるパタゴニアの展示「原生林を燃やす私たちの電気」が話題を呼んでいます。この展示は、カナダのブリティッシュコロンビア州から輸入される木質バイオマス発電の問題点を啓発し、我々が直面する現実に目を向けることを目的としています。
バイオマス発電の課題
バイオマス発電は、日本で再生可能エネルギーとして推進されているが、その実態は複雑です。日本の固定価格買取制度(FIT)によって支持を受けたこの発電方法ですが、実際には木質バイオマスを燃やすことで、二酸化炭素の排出が石炭火力に比肩するほどの量に達しています。このような背景から、バイオマスが本当に環境に優しい選択肢であるのか、疑問の声が上がっています。
さらに、カナダの原生林は、環境法規を無視した伐採が行われていることが問題視されています。特にブリティッシュコロンビア州は、絶滅危惧種が生息する森林が広がり、その大部分が伐採によって脅かされています。日本向けの木質ペレットの需要が森林に更なる圧力をかけている現状に、私たちはどのように向き合うべきかを考えなければなりません。
自然写真家と持続可能な森林経営者の声
トークイベントでは、自然写真家の伊藤健次氏や、持続可能な森林経営を実践する速水亨氏が登壇し、BC州の視察を通じて見えてきた現状について意見を交わしました。特に伊藤氏は、「目に見えない場所で何が起きているのかを理解することが重要」と訴え、生態系が失われる危険性について警鐘を鳴らしました。
速水氏もまた、「バイオマス燃料用の伐採は本来行うべきでない」としつつ、林産業が主要な産業として存在する州における森林の利用について更なる検討が必要であると強調しました。
参加者の声と意図
この展示とトークイベントには多くの参加者が訪れ、意見交換が活発に行われました。参加者からは、「自分が使用する電気がどのように作られているのかを知ることの大切さを実感した」との声も寄せられました。また、展示期間中に求められたオンライン署名は20,035件に及び、環境を守ろうとする人々の意識の高まりを感じました。
解決に向けて
最後に、参加者たちは「原生林を燃やさないために私たちができること」をテーマにグループセッションを行い、未来へのアクションを共に考えました。私たちの消費行動がカナダの原生林にどのような影響を与えているのか、今一度見直すことが求められています。これらの活動を通じて、持続可能な未来を築く手助けをしていきたいものです。
展示は2025年4月初旬まで開催されますので、ぜひ訪れてみてください。私たちの電気がどのように作られているのか、一緒に考えてみましょう。