水産業の未来を見据えた新たな挑戦
新菱冷熱工業株式会社が、茨城県つくば市に位置する研究開発施設「イノベーションハブ」で、閉鎖循環式陸上養殖プラントの実証プロジェクトを開始します。この新たな取り組みは、増加する水産物需要と水産資源保全の観点から非常に重要な意味を持っています。
背景と目的
昨今、世界中での水産物消費は急激に増加しています。日本においても、農林水産省が養殖業を成長産業と位置づけ、その持続可能性に注目が集まっています。従来の海面養殖やかけ流し養殖は、赤潮や水質悪化、気候変動などの問題に直面しています。そのため、陸上養殖が安定した水産物の供給を実現しつつ、環境負荷を軽減する方法として期待されています。
新菱冷熱工業は、この背景を受け、中期計画の成長戦略の一環として閉鎖循環式養殖に取り組むことを決定しました。これにより、全国の21カ所の水族館で培った水処理や生体管理の技術を生かし、養殖業界に新たな風を吹き込むことを目指しています。
システムの特長
このプロジェクトの大きな目標の一つは、脱窒システムを取り入れることによる水資源節約です。具体的には、以下の特長を備えています。
1.
低換水率の実現: 脱窒システムを導入し、飼育水を再利用することにより、水の補給量を最小限に抑えます。これにより、省エネルギー化が実現され、熱源容量の低減にもつながります。
2.
施工ノウハウの応用: 全国の水族館での飼育生物処理の実績をもとに、設計から施工までの一貫対応が可能です。具体的な事例として、本プロジェクトではトラウトサーモンを飼育しますが、まずはその環境を最適化しつつ省エネルギー運転を実現します。
3.
標準化と最適化: 飼育施設内での水処理や循環ライン、生体管理の主要技術要素を体系化しています。実証運転を経て、最適な運転条件と設計指針を確立し、中大規模プラントへ拡張性の高いシステムを構築します。年間生産量は200トン以上を目指します。
そうした特長を活かし、新菱冷熱工業は「養殖業成長産業化総合戦略」を実行に移す大胆なチャレンジを開始しました。2026年から本格的な運転が始まる予定です。
新菱冷熱工業が手がけるこのプロジェクトは、将来の水産業に新たな可能性を開くものとなるでしょう。また、持続可能な水産物供給に寄与するだけでなく、環境問題への対応としても大いに期待される取り組みです。このプロジェクトの成功が、今後の水産業のモデルケースとなることが期待されます。
今後も新菱冷熱工業は、陸上養殖の発展に向けての取り組みを進めていくことでしょう。