eKYC導入企業の実態調査
デジタル本人確認の分野で注目されている株式会社TRUSTDOCKが、2024年4月8日に発表した調査結果は、eKYC(電子的顧客認証)を導入している企業の実態を浮き彫りにします。この調査では、実務担当者を対象に、本人確認業務の運用状況やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスに対する認識などが明らかにされました。
調査の背景
TRUSTDOCKは、eKYCが持つ重要性を認識し、様々な業種で導入が進んでいる現状を考慮して調査を行いました。調査対象は、eKYCサービスを利用している企業に勤める実務担当者で、108名からの有効回答が得られました。調査期間は2024年12月24日から25日までの2日間で、インターネットを通じて実施されました。
「eKYC」とは、デジタル技術を用いて顧客の確認を行うプロセスであり、スマートフォンを利用した身分証の撮影やマイナンバーカードのICチップの読み取りなど、従来の対面確認に代わる新しい手法です。
調査結果の主なポイント
システム運用の課題
調査結果によれば、eKYCシステム運用の際に最も多くの実務担当者が直面している課題は「システムの不具合対応に時間がかかる」というもので、44.4%がこの問題を挙げています。その他にも、「従業員の抵抗感が強い」と「顧客からの問い合わせが多い」との声が3割以上寄せられ、スムーズなシステム導入には適切なオペレーションが求められることが示されました。
人力対応の実情
本人確認業務についての質問では、eKYCシステムの利用だけに依存している企業は22.3%に過ぎず、残りの約8割は人が関与していることが明らかになりました。この結果から、完全な自動化には至っていない現状が見えてきます。
特に「重要顧客は人力で慎重に確認したいため」との理由が54.2%を占めており、安全性を重視した対応が求められていることがわかります。
BPOサービスへの関心
興味深いのは、約9割の参加者がBPOサービスへの関心を示している点です。「非常に関心がある」と「やや関心がある」の合計は88.9%に達し、業務の委託を通じて効率化と品質の向上が可能なBPOへのニーズが高まっていることが明らかになりました。
まとめと今後の展望
TRUSTDOCKの調査で確認されたeKYCの導入状況は、興味深いものでした。自動化が進んでいるものの、実際の業務には人力が不可欠であることが浮き彫りになりました。今後ますます複雑化する金融犯罪やマネーロンダリング対策において、より高精度な本人確認プロセスが求められる中、専門性の高いBPOサービスが問題解決の有力な手段となるでしょう。
今後もデジタル本人確認の分野は成長が期待され、企業はより安全で効率的な業務プロセスを追求する必要があります。これからの1年が、eKYCシステムの革新と進化の重要な時期となることを期待しています。