雪上を走行する自動配送ロボットの試験が成功
京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)と国立大学法人北海道大学(北大)は、国内初となる雪上走行中速・中型自動配送ロボットの共同開発を進めてきました。このロボットは、極寒の北海道で効果的に活用できることを目的としており、準公道での走行試験を実施し、その成功を収めました。
取り組みの背景
KCCSは、無人自動配送ロボットを使って、必要なモノやサービスを必要とする人々に提供することを目指しています。これにより、子どもから高齢者まで、全ての人が快適に生活できる町を作ることが目的です。2021年からは北海道石狩市を中心に技術検証を開始しました。
日本の国土の約半分は豪雪地帯として知られており、雪による配送業者不足が深刻な問題となっています。こうした状況を背景に、KCCSは北大江丸准教授と共に、2022年度からこれまでの開発をスタートしました。
試験の概要
走行試験は2025年2月16日までの間で行われ、悪天候などにより期間が変更される可能性があります。主な試験内容は以下の通りです。
1.
開発の技術的融合: 北大の研究に基づくAIによるノイズ除去技術と、KCCSの自律走行技術を組み合わせた中型自動配送ロボットの開発を行います。
2.
降雪時の課題克服: 除雪されていない雪道で自律走行を行うため、降雪時には自動制御で停車する機能を備えています。降雪量は約3cm毎時での安定速度10km~15kmでの走行に成功しました。
3.
位置推定の精度向上: 周辺環境の変化に応じてLiDARによる位置推定が不安定になる課題に対し、GPSによる補正を実施。これにより、正確な自己位置推定が可能になりました。
4.
視界の確保: カメラにヒーターフィルムを装着することで、降雪時の視界不良を改善し、安定した遠隔監視と操縦が実現されました。
走行エリアは北大構内の準公道であり、総距離は4.0kmにわたります。これは、他車が通行する環境での試験を含んでいます。
自動配送ロボットの詳細
今回使用されるロボットは、国内メーカーのミニカー規格車両を基に自社開発されたものです。新たな車体設計により、さまざまな環境での走行が可能で、事業者のニーズに合わせたカスタマイズも実施されています。
- - 車両サイズは、長さ2.5m未満、幅1.3m未満、高さ2.0m未満。
- - 最高速度は15km/hで、走行中は遠隔監視者が状況に応じて操縦します。
この試験によって、雪に覆われた地域での物流の効率化が期待されています。自動配送ロボットの実用化が進めば、今後の雪国での生活がさらに快適になることでしょう。
未来の物流システムとして、無人自動配送ロボットの進化に注目が集まっています。