次世代ドローンが切り開く物流の未来
先日、インパクト・キャピタル1号ファンドが、株式会社エアロネクストに対してラウンドのリード投資家として出資することを発表しました。両社はともに東京都渋谷区に本社を構えており、今回の協力により、次世代ドローンを活用して社会課題を解決する新たな取り組みが期待されています。
エアロネクストは「人生100年時代の新しい社会インフラで豊かさが隅々まで行き渡る世界へ」というミッションを掲げています。同社は独特のドローン機体構造設計技術である4D GRAVITY®を中心に、技術ライセンス事業、共同開発、さらに地域物流を効率化するSkyHub®事業を展開しており、そのノウハウを活かして多くの地域で実装を進めています。
このファンドは、2024年5月に未上場企業へのインパクト投資を行うために設立されたもので、「人のWell-beingを追い求めるインパクト投資」をその理念に据えています。エアロネクストとの提携は、この理念を実践する重要なステップとなるでしょう。
課題を抱える物流業界
近年、少子高齢化や労働環境の悪化により、多くの業界が深刻な人手不足に喘いでいます。特に、2000年代後半から顕著になったトラックドライバーの数の減少は、2024年に施行される働き方改革関連法の影響を受け、ますます厳しくなると予測されています。この法律では、運転業務に対して時間外労働時間の上限を設定することで、業界全体が抱える労働力不足の問題はさらに深刻化することが見込まれています。
一方で、コロナ禍を経てEコマースが急成長し、宅配荷物の需要は急増しています。これにより、2030年には特定の地域での貨物配達が40%も不足するという試算が出されています。この現状を踏まえると、物流機能の維持は極めて重要な課題であり、特に過疎地域ではドローンの活用が期待されています。
ドローン促進の政府施策
日本政府は2022年12月に「レベル4飛行」、そして2023年12月には「レベル3.5飛行」を可能にし、ドローン配送の事業化を促進しています。また、2024年の能登半島地震におけるドローンの利用実績により、今後の社会インフラ構築における重要性が一層強調されることでしょう。
これは、エアロネクストが計画している事業と非常に合致しています。彼らは、ドローンによる物流インフラの改善、地域社会の物流レベルの維持、そして災害対策のフェーズフリー型インフラの確立を目指し、これが実現できれば、地域住民に安心感をもたらす一助となります。
持続可能な社会への貢献
エアロネクストのドローンはCO2排出量が少なく、従来の物流業界に比べて環境負担の軽減にも寄与します。その結果、最適化された物流インフラの確立は持続可能な地域作りにもつながり、その成果として地域住民の「安心感のある豊かな暮らし」を提供することが期待されています。
今回のインパクト・キャピタル1号ファンドによる出資は、このようなビジョンを実現するための重要な一歩です。出資後も、社会的価値の創出と経済的価値の最大化を支援し、インパクト投資のエコシステムの形成に向けて尽力する方針です。両社の取り組みとその成果に注目が集まります。
このように、次世代ドローンの利用は多くの可能性を秘めており、さまざまな形での社会貢献が期待されています。インパクト・キャピタルとエアロネクストの進展は、今後の地域社会、特に物流業界の変革に繋がることでしょう。