複層モノマテリアルパッケージのリサイクル実証試験が成功
東京・中央区を拠点とする東洋インキ株式会社が、アートエンスグループの一員として、複層モノマテリアルパッケージの再生に関する画期的な実証試験を行った。この試験では、複数のパートナーと協力し、剥離脱墨技術を活用した透明度の高いフィルムの再生に成功した。この取り組みは、環境保護と持続可能な未来に向けた重要なステップを示している。
実証試験の概要と結果
実験は主に、リプトン・ティーアンドインフュージョン・ジャパン株式会社、TOPPAN株式会社と共同で行われ、最終的に高品質な再生材を30%使用したフィルムが実用レベルの性能を持つことが確認された。特に、複層モノマテリアルパッケージの設計には、異素材を含む従来のパッケージの問題点を克服するための新技術が盛り込まれている。
現在、パッケージはポリオレフィンやポリエステルといった異なる素材を使用しているため、リサイクルは非常に困難だ。しかし、単一素材から作られたモノマテリアルパッケージは、そのニーズが高まっており、今後の市場において重要な役割を果たすことが予想されている。
新技術による再生プロセスの詳細
新たに開発された剥離脱墨可能な複層PPモノマテリアルパッケージは、酸素や水蒸気に対する優れたバリア性能を有している。また、東洋インキが開発した特別な剥離ラミネート接着剤と脱墨コーティング剤が使用され、高い透明度と低い不純物レベルの再生素材を得ることができた。このプロセスでは、アルカリ処理を行うことでフィルムの剥離が可能になり、品質の高い再生材の取得が実現されている。
さらに、再生ペレットを用いることで再度元のフィルムに戻すいわゆる水平リサイクルに向けた取り組みも進められており、30%の再生材を使用した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)の物性評価においても、実用レベルであることが確認された。
環境への貢献と業界連携の重要性
artienceグループは、プラスチックリサイクルの分野において、業界内での協力がますます重要であると認識している。ブランドオーナーやフィルムメーカー、機械メーカー、リサイクリング業者など、さまざまな業種と連携し、持続可能なリサイクルシステムの構築に努めている。このような協業を通じて、循環型社会の実現に貢献することが目指されている。
この取り組みの一環として、2024年10月23日から25日に開催される「TOKYO PACK 2024」において、実証試験の成果が展示される予定である。会場は東京ビッグサイトの東2ホール2U15だ。
未来へ向けた一歩
東洋インキ株式会社は、1896年に設立された歴史ある企業であり、artienceグループの中核を担う存在である。環境に優しい製品や持続可能な技術の開発において、同社は印刷インキのリーディングカンパニーとして新たな挑戦を続けている。
この新技術の進展は、持続可能な未来に向けた希望であり、フィルムパッケージング業界全体にポジティブな影響を与えるものである。今後も、リサイクル技術の発展と業界全体の取り組みを促進していくことが期待される。