米国の相互関税が日本経済に及ぼす影響
米国のトランプ大統領が導入した「相互関税」が、2025年度の日本経済に深刻な影響を及ぼす可能性があるとの試算が発表されました。株式会社帝国データバンクのTDBマクロ経済予測モデルによれば、相互関税の実施が実質GDP成長率を0.5ポイント下押しするとされています。これは日本経済全体に波及し、企業の経常利益減少や倒産件数の増加も見込まれています。
相互関税の概要
トランプ大統領は、日本に対して24%の相互関税を適用する旨を発表しましたが、実施から90日間は10%のベースライン関税が適用されることになりました。その後、90日目から再び24%に戻る可能性があります。このシナリオが実現する場合、2025年度の日本の実質GDP成長率は、従来の予測より0.5ポイント低下し、0.7%の成長にとどまる見込みです。
特に輸出の影響を受けやすい分野として自動車が挙げられています。日本からの対米輸出の中で、自動車関連は非常に大きな割合を占めており、ここに高い関税がかけられることで、全体の輸出成長率が大きく低下することが予想されます。
経済への具体的影響
相互関税の影響を受けて、以下のような動きが見込まれています:
1.
輸出の減少 - 輸出の伸び率は、従来予測の2.7%増から1.0%増に低下します。
2.
企業の設備投資 - 輸出の減少が影響し、設備投資の伸び率も減少する見通しです。
3.
企業の利益減少 - 経常利益は、1.8%増の予測から0.1%減少へと転じ、トランプ関税の影響で5年ぶりに減少する恐れがあります。
4.
倒産件数の上昇 - 2024年度に戻りを見せた倒産件数は、2025年度には約339件増加し、1万574件となる見込みです。
これらの要因によって、民間最終消費支出も影響を受け、0.7%増と低下する予測が立てられています。日本経済の根幹をなす個人消費が低迷することで、全体の経済成長がさらに厳しくなる恐れがあります。
まとめ
米国の相互関税に対する企業の反応は厳しく、特に中小企業においては、海外との取引が直接的なものでなくても、広範囲に影響を受ける可能性が高まります。このままの状況が続けば、国内経済全体が厳しい局面に直面するでしょう。しかしながら、政府の経済対策や企業の柔軟な対応によって、状況が改善する可能性も残されています。今後の動向に注目が必要です。