廃石膏ボードを有効利用する新たなリサイクル技術が始動
廃石膏ボードを100%主原料とした新しい石膏ボード製品が、2024年5月28日に発表されました。開発を手掛けたのは株式会社GYXUSで、廃石膏ボードのリサイクルを促進するためのコンソーシアムが設立されています。この取り組みは、今後の社会的なニーズに応えるだけでなく、持続可能な環境保護にも貢献することを目指しています。
廃石膏ボードの現状とリサイクルの必要性
現在、世界中で利用されている石膏ボードの使用面積は2023年時点で150億㎡に達しています。建物の解体に伴い、日本でも2050年には300万トン以上の廃石膏ボードが発生すると見込まれています。しかし、現状ではこれらの大部分が埋め立て処分され、リサイクルされることはありません。このため、廃石膏ボードのリサイクルは喫緊の社会課題となっています。
新たなコンソーシアムの目的
「廃石膏ボード水平リサイクル促進コンソーシアム」では、廃石膏ボードの回収および水平リサイクルを推進するため、全国的に製造拠点を整備しています。投資会員とユーザー会員による共同の取り組みで、廃棄物が再びリサイクル商品として生まれ変わる「サーキュラーエコノミー」の確立を目指します。このコンソーシアムには、現時点で6社のユーザー会員と6社の投資会員が参加しています。
開発された新製品の特長
今回開発された石膏ボード製品は、廃石膏ボードを破砕し、そこから紙と石膏に分離した後、リサイクルした石膏を100%使用しています。これによって、廃棄物を原料として有効活用することが可能になります。従来のリサイクル技術では前処理としてエネルギーを使う焼成処理が必要でしたが、GYXUSの独自技術により、このプロセスを省くことが実現されたのです。
環境への負担を軽減
石膏ボードの主原料には天然石膏が使われており、これを採掘し運ぶことは多くのCO2を排出します。しかし、この新技術では廃石膏ボードを再利用するため、原料段階でのCO2排出量を極めて少なく抑えることができます。さらに地元産業との連携も進めることで、運搬による環境負荷も減少させる方針です。2025年春には、この新たなリサイクル石膏ボードの利用が開始される予定です。
2050年カーボンニュートラルへ向けた取り組み
GYXUSの取り組みは、日本政府が掲げる2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて大きな意義を持ちます。廃石膏ボードのリサイクル活動を通じて、持続可能な社会への道筋を開くとともに、資源の大切さを再確認しようという意図が込められています。今後もコンソーシアムの拡大を図り、環境問題に取り組んでいくことを目指しています。
取材・お問い合わせ先:
株式会社GYXUS
〒512-8514 三重県四日市市
電話: 059-363-8808
担当: 平田・藤田
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