2025年10月15日、旭化成ホームズ株式会社と旭化成不動産レジデンス株式会社は、それぞれが手掛けた「アトラス御影山手」と「プラウドシティ小竹向原」が2025年度のグッドデザイン賞を獲得したと発表しました。この受賞は単にデザインの優れた物件が選ばれたというだけでなく、地域との調和や持続可能な開発の視点からも大いに注目されました。
アトラス御影山手(兵庫県神戸市)
「アトラス御影山手」は、近鉄不動産株式会社との共同プロジェクトで、兵庫県神戸市に位置します。ここは美術館や庭園に囲まれた場所で、周辺には高級住宅街が広がっています。歴史的には、御影山手は明治時代から富裕層が住んできた地域で、そこに住む人々の深い愛着を背景に、建替え事業が始まりました。従来の居住者から「地域に喜ばれる建替えを推進したい」という声が上がり、その意見をもとに、建物の配置には工夫が施されました。
ここでは、従来のL型配置ではなく、I型配置を選択することで、南側に余裕をもたせています。この配置は周囲への圧迫感を軽減し、周囲にあたる美観と調和させる景観作りに繋がりました。また、沿道の大樹や地域の石積みなども取り入れられ、御影の風土に根付いた建築を目指しています。さらに、各住戸のバルコニーは奥行きが2.5mもあり、屋内外のつながりを強化することで、より広がりのある住空間を実現しています。
プラウドシティ小竹向原(東京都板橋区)
一方、東京都板橋区の「プラウドシティ小竹向原」は、野村不動産株式会社との共同受賞です。こちらは、老朽化した向原第二住宅団地が建替えられ、500戸のレジデンスとして生まれ変わりました。このプロジェクトは、過去から未来へとつなげる多世代型の住居を目指し、地域特有の自然環境と住民コミュニティを活かしています。
既存の樹木や中庭、公開広場を取り入れることで、地域に配慮したランドスケープを形成。また、住民同士の交流を促進するための共用空間やイベントも計画されており、世代を超えた住民のつながりを可能にします。建替えに際しては、生物多様性にも配慮し、持続可能な街づくりを進めています。既存の樹木を活かした家具の導入など、地元の文化を尊重した取り組みも評価されているようです。
旭化成ホームズの役割
旭化成ホームズは、2001年からマンションの建替えに携わり、2011年には専門研究機関「マンション建替え研究所」を設立しました。過去50件にわたる建替えの実績を基に、マンションに関する情報提供や分析を行っており、地域社会の問題解決に寄与してきました。現在も持続可能な住環境の実現へと向けて、様々な取り組みを進めています。
旭化成ホームズは、私たちの住環境をより良くするために、地域の文化や記憶を大切にし、未来に価値を提供し続けています。こうした視点が、今回のグッドデザイン賞受賞にも現れていると言えるでしょう。今後の更なる発展と新しいデザインへの挑戦に期待が寄せられます。