資生堂、新たな敏感肌スキンケア研究成果を発表
資生堂が、敏感肌の原因解明に向けた新たな研究成果を発表しました。この研究は、東京大学医科学研究所の井元清哉教授、植松智特任教授との共同で、敏感肌の皮膚常在菌叢に関する重要な発見がありました。
研究の背景
資生堂は、530年以上にわたり、肌の健康と美を追求し、特に敏感肌についてはその複雑なメカニズムを解明するための研究を行っています。敏感肌の人々にとって、ストレスや不安は日常的な問題ですが、これらの症状の根本原因を明らかにし、理想的な肌環境を提供することが企業の目標です。
過去の研究によると、敏感肌にはアクネ菌と表皮ブドウ球菌のバランスが重要であり、特に敏感肌ではアクネ菌に対して表皮ブドウ球菌が優位でないことが分かっています。今回はさらに、そのアンバランスの原因を探るために、全ゲノムショットガン解析という最先端の手法が用いられました。
特殊なアクネ菌の発見
この全ゲノムショットガン解析を通じて、敏感肌には表皮ブドウ球菌の成長を抑える特殊なアクネ菌(阻害菌)が多いことが発見されました。具体的には、これらのアクネ菌が抗菌ペプチドを生成する遺伝子を持っていることが確認され、これが表皮ブドウ球菌の生育を妨げている様子が観察されました。
微生物由来エキスによる解決
a
研究チームは、阻害菌を選択的に抑制し、健康な肌環境を整えるための成分として微生物由来の発酵エキスを発見しました。このエキスは、敏感肌に特有のアクネ菌を標的にしながら、表皮ブドウ球菌の生育を助ける働きがあるとされ、今後の製品開発に向けた重要なステップとなるでしょう。
この新しいエキスの開発は、今後のスキンケア製品に応用され、敏感肌のバランスを整え、より健康的な肌を実現するための解決策となることが期待されています。
研究の意義と未来
この研究に基づく革新的な発見は、資生堂が目指す理想的な肌の実現に向けた数々のスキンケアソリューションの中核を成すでしょう。資生堂のR&D戦略においては、イノベーションを加速させる「DYNAMIC HARMONY」を掲げ、肌の健康をサポートするための持続可能な方法を模索しています。
さらに、オープンイノベーションを通じて、新たな価値の創造を目指す資生堂は、その先進的な研究成果をグローバルに発信し、評価を受けています。今後、敏感肌に対する新たなアプローチが、より多くの人々に支持されることを願っています。
研究成果は2024年8月に開催予定の第97回日本細菌学会総会でも発表されるため、さらなる注目が寄せられるでしょう。新しいスキンケア製品への応用が期待される産業の進展に、目が離せません。