近年、日本と台湾のスタートアップ界隈では相互の連携が注目されており、その一環として新たなファンドが設立されました。Cool Japan Fundが台湾のCDIBキャピタル傘下の開発創新管理顧問と共に立ち上げた「CDIBクロスボーダー・イノベーション・ファンド(CCBI)」は、両国のスタートアップにとって重要な資金調達手段となります。このファンドは、7350万から1億米ドル規模で、ファーストクローズとして6200万米ドルの調達が完了しています。
このファンドの設立により、日本と台湾の間でのスタートアップの協力が進むことが期待されています。Cool Japan FundのCEO、川崎憲一氏は「日本と台湾のスタートアップが様々な分野で協力し合うことで、両国の発展に寄与することができる」と述べており、食、メディア・コンテンツ、ライフスタイル、観光など多岐にわたる分野での連携が強調されています。
CDIBキャピタルの南怡君氏は「台湾のスタートアップが国際的に成功を収める中で、このファンドはスタートアップのグローバル展開を支援する重要な資源となる」と語ります。特に、同社は昨年3月に設立した東京オフィスを通じ、日台スタートアップの交流促進に力を入れており、この新ファンドがその活動の一環として位置付けられています。
郭大經氏が語るように、「ネットワーク構築はスタートアップにとって重要であり、現地のパートナーを見つける支援も私たちの役割」であるとし、資金供給だけでなく、地域内でのリソースを活かした事業展開を目指しています。
特注といえるのが、CCBIのターゲット分野です。デジタル・トランスフォーメーション(DX)をはじめとするテクノロジー関連だけでなく、ライフスタイル産業へも広がりを見せています。郭氏は「台湾企業が日本市場でライフスタイル関連ビジネスに注目し、日本の投資家が台湾のテクノロジーに関心を寄せるという、逆流のような現象が現れている」と分析しています。
CCBIは、日台間のスタートアップエコシステムを構築することを目指しており、これにより両国間のスタートアップが新しい市場を求めて国境を越えた活動を行う基盤が形成されつつあります。
この新ファンドは、ビジネスに革新をもたらすだけでなく、日台の文化交流や相互理解を深める機会にもつながることでしょう。市場のニーズやトレンドの変化を迅速に察知し、スタートアップの成長を加速させるための活動は、今後ますます注目されることでしょう。