リガクが半導体向け計測装置「ONYX 3200」を発表
リガクホールディングスのグループ会社、株式会社リガクが新しい半導体向けの計測装置「ONYX 3200」の販売をスタートしました。この装置は、半導体製造工程においてウェーハの膜厚や組成、さらにはバンプの高さを測定することが可能です。リガクはこれによって、半導体チップ内の金属配線形成(BEOL)およびパッケージング工程の品質安定と歩留まり向上を図ります。
半導体チップの高性能化と計測の重要性
近年、AI技術やデータサーバー、スマートフォンなどに搭載される半導体チップはますます高性能化しています。それに伴い、内部の配線や接続構造は微細かつ複雑になり、従来の計測手法では十分な精度を確保できなくなってきています。特に、髪の毛よりも細い金属層や10マイクロメートル以下の微小バンプを非破壊で正確に測定する必要があります。
「ONYX 3200」は、これらの要求にしっかりと応える装置であり、従来は複数の装置を使い分けていた計測を1台で完結させることができるという特長を備えています。
高精度の測定技術
3D共焦点光学スキャナー
この装置の特筆すべき点は、3D共焦点光学スキャナーによる高精度なバンプ計測機能です。微小バンプや電気を通す金属パターンの形状、高さを立体的に検査できる機能を持っています。バンプは、上層のスズ・銀の下に銅・ニッケルなどが重なる多層構造を持ちます。従来の計測方法では上層金属に吸収され、下層の測定が困難でしたが、「ONYX 3200」はバンプ全体の高さを光学スキャナーで取得した後、蛍光X線計測によって上層の厚みを差し引くことで、下層金属の厚さや量を求めることができます。
デュアルヘッド・マイクロフォーカスX線源
リガク独自のデュアルヘッド・マイクロフォーカスX線源は、SnAg(スズ銀)バンプの材料の割合を非常に高精度に測定できる仕組みを持っています。これにより、直径20マイクロメートル以下の微細なバンプに含まれるわずか2%程度の銀を、約10万分の4の精度で測ることができます。また、2つのヘッドを組み合わせることで、チップの接点近くのさまざまな金属も同時に測定可能となっています。
市場における展望
すでに「ONYX 3200」の1号機がファウンドリー顧客のパッケージング工程向けに出荷されており、世界有数の半導体企業からも多数の引き合いを受けています。リガクは2026年には15億円、2027年度には30億円の売上達成を目指しており、今後の市場展開に期待が寄せられています。
まとめ
リガクグループは、X線分析をはじめとする先端的な分析技術を駆使し、産業や研究のソリューションを提供しています。半導体や電子材料などの多岐にわたる応用分野において、顧客と共に成長を続けているリガクの今後の展開には要注目です。詳しい情報は公式ウェブサイト(
リガクホールディングス)をご覧ください。