文化と自然の共生:絵本「ミツバチとミミズ」が示す未来
2023年11月3日、文化の日に、日本文化啓発より、ネイチャーポジティブをテーマにした翻訳絵本『ミツバチとミミズ』が出版されました。この絵本は、ミツバチとミミズの生態や歴史、そしてそれらを取り巻く社会問題を、美しいイラストとともに分かりやすく解説しています。子供から大人まで楽しめる内容で、自然環境への理解を深め、生物多様性保全への関心を高めることを目指しています。
絵本の背景:Well-beingと日本の伝統文化
この絵本の出版は、「ミツバチ文化事業」の一環として行われました。この事業は、ゲラン株式会社と銀座ミツバチプロジェクトが実施する女性養蜂家育成プログラムへの参加がきっかけとなり発足。生物多様性保全と日本の伝統文化継承をテーマに、人と自然、そして文化の共生を促進する活動を行っています。2024年には、東京都東中野の梅若能楽堂を、ニホンミツバチとの共生環境の象徴的な拠点として整備する予定です。
絵本の魅力:ミツバチとミミズ、そして日本の自然
絵本では、フランスに住むミツバチとミミズが主人公として登場しますが、その生態や人との関わりは、日本のミツバチやミミズにも通じる普遍的なテーマです。日本の在来種に関する情報も掲載されており、日本の自然環境への理解を深めることができます。
翻訳者あとがきでは、原作の持つ自然への深い洞察と、子供たちへのメッセージ性が強調されています。また、日本のアニミズムや伝統文化との関連性にも触れ、この絵本が、日本における自然との向き合い方を見直すきっかけになることを期待していると述べています。
ミツバチと能:共通点と新たな視点
ミツバチ文化事業では、能楽とミツバチの意外な共通点に着目しています。能の装束には多くの日本在来植物が描かれ、花を舞うような表現が特徴的な梅若家の能は、ニホンミツバチとの親和性が高いと考えられています。
両者には、自然への感性、長い歴史、洗練された技術といった共通点がある一方、誤解や偏見によって真価が知られていないという共通の課題も抱えています。
偏見とイメージバイアス:ミツバチと能の現状
ミツバチは、ハチミツを作る、刺す危険がある、という限定的なイメージを持たれがちです。しかし、ミツバチは人間にとって食糧生産に不可欠な存在であり、その生態系の重要性は広く認識されるべきです。
同様に、能も、高尚で難解、退屈なものというイメージから、多くの人にとって身近な存在ではありません。しかし、能は、日本の自然と感性によって育まれた、世界的に貴重な文化遺産です。
未来への展望:Well-beingの実現に向けて
ミツバチ文化事業は、絵本出版以外にも、ニホンミツバチとの共生環境づくり、伝統文化とのコラボレーション、メディアを通じた啓発活動など、多様な取り組みを行っています。
梅若能楽堂の屋上では、ニホンミツバチが元気に生息し、子育ても順調に進んでいます。これは、自然と共生する未来の可能性を示す象徴的な出来事です。
この絵本は、ミツバチや能といった具体的な事例を通じて、私たちを取り巻く自然環境や文化への理解を深め、よりよい共生社会の実現に貢献することを目指しています。偏見や誤解を取り除き、自然と文化の真価を再認識することで、真のWell-beingへと繋がることを期待しています。