エジプトの音楽教育に新たな風を吹き込む
2023年8月、エジプト・アラブ共和国で行われた第9回アフリカ開発会議(TICAD9)において、ヤマハ株式会社はエジプト教育・技術教育省との間で、音楽教育の普及と質の向上を目指す重要な協定を締結しました。この取り組みにより、エジプトの公立小学校100校において日本型の音楽教育が試験導入されます。
音楽教育を通じた心豊かな社会の実現
ヤマハ株式会社は、「世界中の子どもたちが音楽を通じてこころ豊かな人生を送れる平和な社会の実現」というビジョンの下、2015年から新興国を対象にした「スクールプロジェクト」を開始しています。このプロジェクトは、各国の教育機関と協力し、音楽教育を通じて子どもたちの教育環境を豊かにすることを目的としています。
これまで、マレーシアやインドネシアなど多くの国で425万人以上の子どもたちに音楽の楽しさを届けることに成功しています。エジプトでは、2021年11月から実施中の「エジプト日本学校」にて、リコーダーを用いた音楽教育が試験的に導入され、現在2,800名の児童が参加しています。
日本型音楽教育の特徴
新たに導入される音楽教育プログラムは、「器楽」「歌唱」「鑑賞」「音楽づくり」の4つの分野から構成されており、特に器楽に重点が置かれています。このプログラムは、エジプトの新しい教育方針にも配慮したもので、「規律的・協働的な人材育成」を目指しています。具体的には、ペアワークや探究活動を取り入れた「主体的・対話的で深い学び」を重視しています。
今回の覚書の締結によって、エジプトの公立小学校において日本型音楽教育がさらに広がることが期待されています。今後、この教育プログラムがどのように児童たちの音楽への興味と理解を深め、より豊かな心を育むのかが注目されています。
TICAD9での発表
TICAD Business Expo & Conferenceでは、ヤマハの「スクールプロジェクト」に加え、タンザニアにおける森林資源のエコシステム構築を支援する「おとの森」プロジェクトについても紹介されました。これにより、音楽教育だけでなく、環境保護や持続可能な開発に向けた取り組みも進められています。
SDGsへの貢献
ヤマハの音楽教育プロジェクトは、持続可能な開発目標(SDGs)にも寄与しています。具体的には、質の高い教育や人と国の不平等の解消、平和と公正の実現、そして国際的なパートナーシップの構築を目標としています。また、音楽教育を通じて「非認知能力」を育成することも重要視されています。
今後も、ヤマハはエジプトをはじめとする国々で音楽教育を推進し、子どもたちの未来を明るくするための持続可能なビジネスモデルの構築を目指します。音楽による教育を通じて、多くの子どもたちが豊かな人生を送ることができる日は近いかもしれません。