長谷川まりるの新作『杉森くんを殺すには』が野間児童文芸賞を受賞

『杉森くんを殺すには』が受賞！

作家・長谷川まりるとイラストレーター・おさつによる新作『杉森くんを殺すには』が第62回野間児童文芸賞を受賞しました。この作品は、株式会社くもん出版から2023年9月に発刊されたもので、児童文学の分野で特に優れた作品に与えられる名誉ある賞です。

物語の概要

本作の主人公は、心の痛みに悩む少年ヒロです。物語の冒頭、ヒロが「杉森くんを殺すことにした」と衝撃的な宣言をするところからストーリーが始まります。これは一見、恐ろしい決意のように思えますが、作品はその先に待つヒロの心の葛藤や成長を描き出しています。物語は、彼が直面する出来事と、それを乗り越えるまでの過程を軽快な語り口でつづり、読者に重要なメッセージを届けます。

この作品の魅力は、ヒロの心の動きに焦点を当てている点です。その過程で、読者は他者の痛みだけでなく、自分自身の心の痛みをも考える機会を得ます。特に中学生以上の若者に向けたこの物語は、彼らが不安や葛藤をどう解決していくのか、貴重なヒントを提供してくれます。

読者の反響

読者からのアンケートによると、本作は非常に感動的であるとの声が多数寄せられています。ある17歳の女性は、友人の勧めで読んだ結果、主人公の複雑な心情や展開に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなかったと述べています。いじめを受けている子どもが心の痛みに向き合う様子が描かれ、多くの共感を呼び起こします。

さらに、43歳の女性はこの作品が心の不安定さをリアルに描写していると評価しており、主人公がどのようにその思考を受け入れていくのかを丁寧に描いている点に感銘を受けたと語っています。また、読み終えた後には相談できる場所が紹介されており、実際的な助けも提示されていることが評価されています。

作者の紹介

長谷川まりるは、長野県生まれ、東京都で育った作家です。過去に『お絵かき禁止の国』で講談社児童文学新人賞佳作を受賞、また『かすみ川の人魚』で第55回日本児童文学者協会新人賞を獲得しています。これまでにいくつもの名作を世に送り出しており、子どもたちにとって大切なメッセージを伝える作品を数多く執筆してきました。

一方、おさつはイラストレーターとして様々な装画を手がけており、特に温かみのあるタッチで人気です。彼の描くキャラクターは、作品の内容を補完し、より深みを与えています。