ブリングアウトと日本M&AセンターがM&A業務を変革
株式会社ブリングアウトは、業界のリーディングカンパニーである株式会社日本M&Aセンターとの共同開発で、新たなAIソリューション「Bring Out for M&A(β版)」を発表しました。この新しいツールは、M&A仲介業務の効率化と質の向上を目指し、業務全体における対話を起点に生成AIの活用を推進するものです。具体的には、譲渡企業や譲受け候補企業とのインタビュー、企業概要書の提案、M&A成約に向けたキックオフミーティングなど、多岐にわたるM&Aプロセスにおいて利用されます。
増加するM&A需要とその課題
特に近年、日本では後継者不足による事業承継や成長戦略の一環としてM&Aに対する需要が急増しています。この背景には、経済成長の持続性を確保するためにM&Aの効果が重要視されるようになったという現状があります。その中で、日本M&Aセンターは「最高のM&Aをより身近に」という理念のもと、質の高いM&Aの実現に力を入れています。
しかし、従来のM&A業務は人手に大きく依存しており、成約件数を増やしつつも品質を担保することには限界があります。このような問題を解決するために、ブリングアウトと日本M&Aセンターは業務全体に関わるAI支援を進めるべく「Bring Out for M&A」の開発を行ってきました。
AIによるデータ解析とその成果
このプロダクトの開発には、日本M&Aセンターに在籍する600名以上のM&Aコンサルタントが行った商談データの解析が不可欠でした。ブリングアウトの独自AI技術を用いることで、5,000社以上の譲受け候補企業に対するM&Aニーズのインタビューや、1,500社におよぶ企業概要書提案のデータが蓄積され、その情報がAIによって解析されました。初期の分析結果では、高いパフォーマンスを持つコンサルタントによる提案が、全体の平均よりも多くの時間をM&Aシナジー仮説の説明に充てることが明らかになりました。このように、成約に寄与する要素を定量的に明示することができ、質の高い提案の特徴を可視化できるようになりました。
目指すは全体のデータベース化
2022年以降、両社はさまざまなM&Aプロセスにおける対話データを集め、解析を進めることによって業務の高度化を目指しています。譲渡企業・譲受け候補企業の情報インタビューや企業概要書提案、さらにはキックオフミーティングのデータをもとに詳細なデータベースが形成され、AIマッチングやフィードバック生成の準備が整ってきました。
このプロジェクトを通じて得られた成果は、部門間の連携をスムーズにし、過去には属人化していた情報を共有することで全体的な業務の効率化を図れています。今後は、譲受け企業の戦略と譲渡企業の特徴を統合した提案資料自動作成機能やシナジー仮説提示支援を目指して、さらなる機能拡張が見込まれています。これらにより、M&Aコンサルティング業務はより効果的かつ質の高いものになると期待されています。
社会的貢献を目指して
日本M&Aセンターの代表、竹内直樹氏は、「Bring Out for M&A」を活用することで、経営者との対話を通じて得た膨大な情報を可視化し、経営をサポートすることができると語ります。ブリングアウトの中野慧社長も、意思決定の核となる対話を構造化することに注力していると強調し、その結果、M&A業界におけるAI利用の可能性が極めて広がっていると述べています。
このようにブリングアウトと日本M&Aセンターの連携は、M&A業務の新たな地平を切り開く取り組みとして注目されており、今後の成果に期待が寄せられています。