モビリティ業界のAI開発を強化する新GPU導入
ネクスティ エレクトロニクスとジーデップ・アドバンスが共同で提供するGPUトライアルサービス「GAT(GPU Advanced Test drive)」に、最新の「NVIDIA DGX B200」が導入されることが発表されました。これは、モビリティ業界におけるAI開発を加速させることを目的としており、AI学習の効率を大幅に向上させると期待されています。
背景
現代のモビリティ業界においては、自動運転やコネクティッドカー、電気自動車(EV)の進展が目覚ましく、AI開発が競争力の重要なファクターとなっています。しかし、AI開発の初期段階では、実際の検証や投資判断が難しいという課題が存在しました。このため、ネクスティ エレクトロニクスとジーデップ・アドバンスは2024年4月に、モビリティ業界向けに最新のGPUトライアル環境を整備した「GAT」を始動させました。
お客様からの要望に応える形で、多くの実績を持つ「GAT」において、新たに「NVIDIA DGX B200」が導入されることとなります。これにより、AIの学習期間が短縮され、検証回数も増加し、AI開発の効率を一層高められるとされています。
NVIDIA DGX B200の特長
「NVIDIA DGX B200」は、最新のNVIDIA Blackwell TensorコアGPUを搭載しており、その性能は画期的です。このシステムは、8基のBlackwell GPUを相互接続する第5世代のNVIDIA NVLinkを使用しており、トレーニング性能は前世代のDGX H100と比べて3倍、推論性能は15倍にまで向上しています。これにより、膨大なデータを扱うAIトレーニングがより迅速かつ効果的に行えるようになります。
具体的な仕様としては、以下のような特徴があります。
- - GPU: NVIDIA Blackwell TensorコアGPU × 8基
- - GPUメモリー: 総計1440GB
- - パフォーマンス: 72 petaFLOPS FP8、144 petaFLOPS FP4
- - CPU: 2 × Intel® Xeon® Platinum 8570(合計112コア)
この高性能なハードウェアがあれば、特に自動運転開発に必要な高精度なシミュレーションが実現し、実際の試験では困難な状況も安全に再現することが可能です。
GATのサービス内容
「GAT」では、さまざまなサービスが提供されています。特に注目すべき点は以下の内容です。
- - マルチモーダルAI対応の動画生成: 各種データを入力し、交通状況や走行環境を自動で動画化。
- - 自動運転シミュレーション支援: センサー情報や環境条件を加味した高精度シミュレーション。
- - 強化学習ツールによる開発支援: 環境データを元に車両制御アルゴリズムを最適化。
- - PoCから開発までの一貫支援: 初期検証からシステム実装までをサポート。
このようなサービスは、モビリティ業界における技術革新をより進めるものとなるでしょう。
ネクスティエレクトロニクスとジーデップアドバンスの今後
ジーデップ・アドバンスのCEO、飯野匡道氏は「フィジカルAIの時代には、モビリティとAIの融合が不可欠です。我々は、GATを通じて開発者の皆さまに新しいトライアル環境を提供します」とコメントしています。
ネクスティ エレクトロニクスの高野幹男氏も「この新システムの導入により、AI開発の効率を一層向上させていきます」と強調しています。
両社の連携が工業界においてどのような革新をもたらすか、今後が楽しみです。