ファイナンシャル・ウェルビーイングと家計の期待
最近、私たちの生活において「ファイナンシャル・ウェルビーイング(FWB)」という概念が際立つようになっています。このFWBは、ただお金を持つことではなく、「経済的な安心感を持ち、人生を楽しむための選択ができる状態」を意味します。つまり、経済的な不安に煩わされることなく、自分の価値観やライフスタイルを大切にできることが求められています。しかし、日本の家計はこの「経済的な安心感」をどれだけ実感できているのでしょうか。
調査結果の概要
三井住友トラスト・資産のミライ研究所、通称「ミライ研」が2026年1月に全国1万人を対象に実施した調査では、生活者の家計期待指数が導き出されました。調査は、今後1〜2年内に「家庭の生活がどう変わるか」を尋ねる形で行われ、その結果、家計期待指数はマイナス14.3ポイントに達しました。この数字は、良くなると考える人よりも悪化すると思う人が多いことを示しています。
一方で、興味深いのは、「変わらない」と答えた人の割合が全体で50〜60%に達していることです。これは、生活者が「大きな変化はないだろうが、急激に悪くなるとも考えられない」という姿勢を示しています。このように、景気が良いと報じられる中でも、家計の実情には大きな隔たりがあるようです。
年代別の意識の違い
年代ごとの家計期待を見てみると、20代だけがポジティブな反応を示し、他の年代は全てマイナスとなっています。20代は、自身の所得が比較的少ない一方で、「これから収入が増える余地が大きい」と感じているようです。新しい働き方や資産形成に対しても前向きで、未来に対する期待があります。
逆に30代以降の世代は、結婚や子育て、住宅購入など、さまざまな支出が固まることから、生活環境が厳しくなる可能性が高いという懸念を抱えています。特に、40代から50代は教育費や介護、老後資金など、見えてくる支出の幅が広がり、生活資金が将来的にも賄えるかどうかに不安を感じるのは自然なことです。
経済的な期待の裏側
「今後1〜2年で家計が良くなる」と期待する人の理由の上位は、収入増や資産運用の期待が多く挙がっていました。このうち、収入増の期待が最も高く、特に30代では半数以上が期待しています。コロナ後、賃上げや転職といった希望が増えている一方で、逆に「収入が増えない」という懸念も多く見られました。物価上昇や税負担の増加も影響しており、全体の約66%がこの影響を危惧しています。
結論と提案
私たちの生活は、景気や賃金の上昇といったマクロ経済の状況を反映しているようですが、具体的な家計の数字として実感できていない人が多いのが現実です。このような「なんとなくの不安や楽観」を解消するために、個々の家計を見直し、収支を整理してライフプランシミュレーションを利用することが効果的です。自分の家計が将来どうなるのかを可視化することで、経済的な安心感を得やすくなるでしょう。
また、家計に対する不安を解消することができれば、より積極的な消費や投資に繋がり、経済全体にもポジティブな影響を与えるものと考えます。ミライ研では、こうしたテーマに即したデータや情報を広く発信し、生活者が「漠然とした不安」から「根拠のある選択」へと変わる手助けをしていきたいと思っています。
今後も「資産のミライ研究所」のウェブサイトをぜひチェックしてください。多様なテーマについての情報が掲載されています。