自動運転トラック向けカーボンニュートラル燃料の協力合意
2023年10月、株式会社T2(東京都千代田区)は、出光興産、伊藤忠エネクス、宇佐美鉱油、三和エナジー、ENEOS、ENEOSウイング、太陽石油など、石油業界の重要企業7社と共同で自動運転トラック向けのカーボンニュートラル燃料(以下、CN燃料)の利用拡大に向けた合意を成立させました。この合意は、トラックドライバー人手不足の中で自動運転技術の未来に向けた大きな一歩となります。
対象となる燃料とその意義
自動運転トラックの導入が進む中、T2はこれらのトラックにおいてCO₂排出量を削減するためのCN燃料を試験的に使用することを決定しました。CN燃料は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた国の施策として推進されており、特に廃食油を限界まで活用したリニューアブルディーゼルは、実質的に100%のCO₂削減を実現する可能性が期待されています。
合意の中でT2は、7社からそれぞれCN燃料を受け取り、自社の自動運転トラックでの試験・実証運用を行う予定です。初めに、軽油にバイオディーゼルを5%混ぜた「B5軽油」を宇佐美鉱油および三和エナジーから、廃食油を主成分にした「リニューアブルディーゼル」を伊藤忠エネクスから取得し、2025年中にも実証運用を開始します。
自動運転技術の進化と現状の課題
現時点では、CN燃料の普及には複数の課題が残っています。特に、給油スポットの数が限定されているため、燃料の供給ネットワークの整全が進んでいません。また、一部の燃料については給油時に複雑な手続きが必要で、これが利用者にとっての障壁となっています。T2が行う自動運転トラックの運行計画には、高速道路のインターチェンジ付近に給油スポットを整備する取り組みが含まれており、これによってオペレーションの改善が期待されます。
自動運転トラックの未来
2027年から、.T2はレベル4の自動運転トラックによる幹線輸送を開始する準備を進めています。この取り組みにより、自動運転トラックがCN燃料の利用を広げ、併せてCO₂排出量の削減にも貢献できると考えられます。特に長距離輸送では、CN燃料の導入が減少するCO₂排出に対して大きな影響を持つと予想されています。
各社の協力と今後の展望
合意の中では、T2が新たな燃料の導入と供給方法を探求していくことに加え、ENEOSや宇佐美鉱油、三和エナジー、太陽石油といった主要企業との連携も強化される見込みです。各社との協力によって、今後は給油オペレーションの課題を抽出し改善活動へとつなげていく計画です。
今回の合意は、自動運転トラックの導入と持続可能なエネルギー利用の進展を図る大きなステップとなるでしょう。よりクリーンで効率的な交通運輸の未来を実現するために、石油業界とテクノロジー企業の協調に期待が高まります。