環境に優しい未来を実現する住友ベークライトの挑戦
住友ベークライト株式会社は、植物由来の新たな未来を切り拓く技術革新を成し遂げました。世界初となる非可食バイオマス由来、固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂の量産化に成功し、商業化を果たしました。これは、持続可能な社会の実現に寄与する重要な一歩となります。
1. 取り組みの背景
近年、資源循環や温室効果ガス(GHG)の排出削減が求められる中、プラスチック製品に対する意識が高まっています。プラスチックは、焼却や摩耗によって再利用が難しく、化石資源から再生可能なバイオマス原料へと転換する必要があるという認識が広まっています。住友ベークライトは、NEDOのプロジェクトに参加し、リグニンを利用した樹脂製造技術の開発を行ってきました。
2. 技術の進展
住友ベークライトは、リグニン変性フェノール樹脂を液状レゾール型から固形ノボラック型へと展開し、商業化に成功しました。この固形ノボラック型樹脂は、パルプ製造過程で得られる安定した原料で作られており、利用が進んでこなかったリグニンを有効活用する新たな機会を提供します。
3. 商業化の成果
現在、住友ベークライトは「スミライトレジン(R) PR-L-0002」という製品を提供しており、これは鋳造業界でのバインダー樹脂として使用されています。この製品は既存の樹脂と比べて化石資源の使用量を15%削減し、またカーボンフットプリントを11%抑えることが可能です。このように、廃棄物の発生を抑えながら、自動車部品などへの導入を急速に進める予定です。
4. 持続可能な社会に向けた展望
住友ベークライトは今後もこの技術を活かし、様々なリグニンを用いた製品への適用拡大を進めると同時に、環境に優しい製品のラインアップを強化していく方針です。また、NEDOの支援を受けながら、さらなる技術革新を目指し、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを続けます。
5. 結論
住友ベークライトの取り組みは、環境への配慮を重視した新しい製品を市場に投入することで、産業界全体に持続可能なビジョンを広める原動力となることでしょう。これからの技術革新に期待しつつ、我々も日々の生活で環境に配慮した選択をしていくことが求められます。私たちの未来は、こうした挑戦が形作っていくのです。