バイオものづくり企業の新たな挑戦
近年、環境問題に対する関心が高まる中、バイオものづくりスタートアップの
株式会社ファーメンステーションは、東京大学の研究者たちと共同で環境影響評価の新手法を開発する研究を開始しました。この取り組みは、気候変動や資源循環問題に直面する現代社会において、重要な役割を果たすことが期待されています。
環境性能の重要性とは?
企業や産業が持続可能な社会を実現するためには、環境性能を数値化し、評価することが必要です。特に、食品や飲料業界においては、環境影響を定量的に示すことが新たな競争条件となりつつあります。こうした背景の中、ファーメンステーションは、未利用バイオマスの利活用に焦点を当てています。この資源を発酵技術を用いて高付加価値素材に変換することで、廃棄物の削減と地域資源の循環を実現しようという目的です。
共同研究の詳細
今回の研究では、コーヒー粕から生成されるフレーバーアルコールや米ぬか由来の発酵風味素材など、具体的な製品例を基にしながら、未利用バイオマス発酵プロセス全般に共通するライフサイクルアセスメント (LCA) 技術の確立を目指します。これにより、原料の調達から発酵、精製、製品化に至るまでの一連のプロセスを評価し、従来の方法との比較を通じて、新たなアップサイクルの優位性を科学的に示すことが狙いです。
認証制度への対応
さらに、この研究は2050年に向けたカーボンニュートラルの目標や国際的な持続可能性基準の認定・認証制度を念頭に置いて進められます。研究開発の初期段階から未来の社会要請を取り込むことで、ライフサイクルの持続可能性をさらに高めていく方針です。
分散型事業モデルの構築
ファーメンステーションは、スケーラブルな事業モデルを視野に入れ、地域ごとの条件に最適な生産・循環シナリオを描くことにも注力しています。この研究で得られた成果が、単なる学術的知見に留まることなく、食品メーカーや自治体との連携を通じて、国際市場への展開を促進し、環境価値を基盤とした新たな産業モデルの構築へ繋がることを目指しています。
研究者の紹介
この共同研究は、
東京大学 未来ビジョン研究センターの
菊池康紀教授と、先端科学技術研究センターの
小原聡特任教授が指導します。菊池教授はライフサイクル工学と持続可能性に関する専門家であり、小原教授はバイオプロセス工学に精通しています。両教授のもと、革新的な技術開発が進められます。
今後の展開
ファーメンステーションは、農林水産省系のSBIRフェーズ3の事業とも連携し、実証的なデータを活用して、研究成果を事業へと迅速に接続することを考えています。将来的には、確立されたLCA手法を駆使し、国内外のパートナーと共に多様な事業モデルを構築し、環境価値を「見える化」した新たな市場の創出に繋げていく意向です。
持続可能な未来を目指して
ファーメンステーションは、「味や機能性」と「環境的価値」を融合させた発酵素材の開発を進め、循環型社会を実現するための新たな産業モデルの先導役となることを目指しています。食とバイオに関する革新を通じて、持続可能な未来を築いていく姿勢は、多くの人々に希望を与えることでしょう。
会社概要
ファーメンステーションは、千葉県船橋市に本社を構え、「発酵で楽しい社会」を目指す企業です。地域の未利用資源を活かしながら、バイオ素材の開発に取り組んでいます。詳しい情報は、
公式ウェブサイトをご覧ください。