積水化学工業の新たな取り組み
近年、安定した半導体製造のための水質確保が重要視される中、積水化学工業株式会社は新たにPFAS(ペルフルオロアルキル化合物)を使用せずに超純水を供給するための配管技術を確立しました。この取り組みは、世界的な環境規制の強化を受けてのものであり、同社の持続可能な社会への貢献が期待されています。
背景
半導体業界やFPD(フラットパネルディスプレイ)産業では、使用する超純水の品質を保持するために、高性能な配管資材が求められています。従来使用されてきた樹脂材料や金属材料はともに、特定の条件下で溶出物が問題視されることがあります。そのため、無機物や有機物の溶出を抑えるための新しい素材が必要とされてきました。
PFASとその影響
PFASは自然界で分解されにくく、環境や人体に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。特に、PFOAやPFOSはすでに製造や輸入が禁止されていることから、監視が強化されていますが、フッ素樹脂材料が依然として使用されている状態です。今後、欧米を中心にこれらの規制が進む中、積水化学の取り組みは業界において先見の明を持つものと言えるでしょう。
新素材の開発
積水化学は、プラスチック管材を1984年から手掛けており、実績に基づいている信頼性があります。新たに開発された特殊オレフィン樹脂配管材は、従来のフッ素樹脂に比べて、CO2の排出量を約80%削減することが可能です。この技術は、実際の超純水製造装置での実証実験を経ており、その効果が実証されています。これにより、PFASフリー配管の実用化が見えてきました。
未来の展望
積水化学は、2026年度中にPFASフリー化技術を顧客に提供することを計画しています。さらには、バルブやガスケットなどの製品においてもPFASフリーを推進し、オールPFASフリー化を実現すべく開発を進めています。これにより、同社はサステナブルな製品の提供を加速し、環境負荷の低減に貢献していく方針です。
サステナビリティへの貢献
積水化学は製品開発だけでなく、使用時における環境課題の解決にも力を入れています。2030年までに持続可能な社会を目指す中で、「サステナビリティ貢献製品」という制度を設け、ESG経営を強化しています。環境負荷を考慮した製品の提供で、より良い未来を創造していくことを目指しています。
この取り組みは、半導体業界のニーズに応えるだけでなく、2025年以降の世界的な規制の潮流にも対応しているため、今後の動向に注目が集まります。