歯周病の予防における新しい視点
ライオン株式会社が行った最新の研究で、歯周病の発症や進行を防ぐために口腔内の免疫機能が重要であることが確認されました。特に、免疫細胞であるマクロファージの働きがこの予防に大きく寄与することが判明。その結果、マクロファージの機能に着目した新たなアプローチが展開されています。
研究の背景と目的
歯周病は口腔内の細菌感染により引き起こされ、歯を支える歯ぐきや骨に炎症をもたらします。この病気を予防するためには、歯垢の除去や殺菌だけでなく、歯ぐきの防御能力を高める方法が求められています。ライオンは、これまでの菌へのアプローチに加えて、免疫機能を強化することでも歯周病を防ごうと研究を進めています。
特にマクロファージは、体内の免疫機能において重要な役割を果たす細胞で、異物を排除する働きや炎症反応の調整を行います。しかし、歯周病におけるマクロファージの具体的な役割は未だ解明されていませんでした。そこで、この研究ではマクロファージの2つの機能、「老廃物除去機能」と「免疫反応調整機能」に注目し、歯周病との関連性を探りました。
研究成果の概要
1. GK2による老廃物除去機能の活性化
研究の一部で、薬用歯みがきの成分であるグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)がマクロファージの老廃物除去機能を活性化することが確認されました。この機能は、過剰な炎症を防ぎ、炎症の状態を改善する重要な役割を果たします。研究者たちは、GK2が老廃物を効果的に排除し、歯ぐきの炎症を減少させる可能性が示されました。
2. 免疫反応調整機能が組織修復を促進
次に、マクロファージが持つ免疫反応調整機能について解析が行われ、炎症を抑えるメカニズムが明らかになりました。特に、長期にわたる細菌刺激に対して、マクロファージは炎症誘発因子を減少させ、同時に組織修復を促進する因子の出現を高めることが確認されました。このメカニズムは、歯周病の進行を抑えるための新たな手法につながる可能性があります。
今後の展望
今回の研究は、歯周病予防における免疫機能の重要性を再認識させるものであり、ライオンは今後もこの研究を進め、より効果的な歯周病予防技術の開発を目指しています。特に、マクロファージの機能研究に焦点を当て、口腔内健康を促進する新しい製品や対策が期待されています。
この研究成果は、2025年にスペイン・バルセロナで開催される国際歯科研究学会において発表される予定です。また、研究結果は専門誌にも発表されます。歯周病の新たな予防法がこの研究から生まれることを期待しています。