ABBロボティクス部門の独立上場計画
ABBは、2026年第2四半期にロボティクス部門を独立した企業として上場させる計画を発表しました。この決定は、2026年の年次株主総会で正式に承認される見通しです。ロボティクス部門は、その高い業績を背景に、長期的なオートメーションのトレンドにおいて重要な役割を果たすことが期待されています。
独立した上場企業としての企業価値
ABBの取締役会によれば、独立した企業として上場することで、ロボティクス部門の顧客に対する価値創造や成長の機会が最適化されると考えています。さらに、両社は焦点を絞ったガバナンスや資本配分によって、相互にメリットを享受することができるでしょう。ABBは、エレクトリフィケーションやオートメーションの分野でのリーダーシップを保ちながら、長期的な戦略に引き続き注力します。
ABBロボティクスは、インテリジェントなオートメーションソリューションを提供し、世界各地の顧客に対して生産性や柔軟性を向上させ、持続可能な事業運営を支援しています。自律走行ロボットやAI技術を駆使した製品とサービスは、業務上の様々な課題解決につながることを目指しています。特に、ロボティクス市場においては、製品の80%がソフトウェアやAI対応になっています。
市場安定と成長の機会
ABBロボティクス部門は、業界内での優れた業績を誇ります。ABB Wayに基づく分散型の事業運営モデルの中で、2019年以降はほとんどの四半期において二桁の利益率を維持しています。最近では、サプライチェーンの逼迫が緩和され、受注パターンも正常化しつつあり、部門全体の受注は増加傾向にあります。このような背景から、ABBロボティクスは強固な資本構造をもって上場することができ、米州、欧州、アジアに製造拠点を持つ「ローカル・フォー・ローカル」モデルを展開します。
将来展望とリスク
同社には約7,000人の従業員が在籍し、2024年の予測売上高は約23億ドルで、ABBグループ全体の売上高の約7%を占めています。株主は、提案に賛同することにより、ABBの株式保有割合に応じて新たに上場されるロボティクス会社の株を現物配当として受け取ることが期待されています。
今後、ロボティクス部門はマシンオートメーション部門と連携し、2026年第1四半期からプロセスオートメーション事業部門と統合される予定です。この構造変更により、顧客価値の創出力を高め、ソフトウェアおよび制御技術の技術シナジーを活用します。
ABBは、エレクトリフィケーションとオートメーションのグローバルリーダーとして、持続可能で資源効率の高い社会の実現に寄与することを目指しています。140年以上の歴史を持つABBは、世界中に105,000人以上の従業員を擁し、スイス証券取引所およびナスダック・ストックホルムに上場しています。
将来に関する情報に関しては、様々な経済状況が影響を与える可能性があり、これには外的なリスクや不確実性が含まれることに留意しなければなりません。ABBが期待する成果が実現できるかどうかは、まだ不透明な部分が多く残されています。