青森の希少りんご「こうとく」を世界に届けるプロジェクト始動
青森県弘前市で、新たな挑戦が始まった。元運送会社の配達員であり、株式会社北前船の代表取締役、佐々木雄大氏が手掛けるこのプロジェクトは、青森の食材を全国へ、そして海外へも届けることを目指している。特に注目されているのは、希少品種のりんご「こうとく」の樹木オーナーをクラウドファンディングで募集中であるということだ。
青森出身の佐々木氏が目指す食材の価値
佐々木氏は、1980年生まれで青森県弘前市出身。かつては運送会社の配達員として働いていたが、その経験を通じて青森産品の魅力を広めるプロジェクトを提案し、自治体との連携協定を結ぶなどして活動してきた。2019年には、自分の手で青森産品の価値を全国へ伝えるために、個人事業主として業務用食材卸売事業をスタート。鮮度とコストパフォーマンスの高い食材を、飲食店に直接届けることで、業種を越えて取引先を広げてきた。
コロナ禍で法人化し、事業を転換
2020年に新型コロナウイルスが蔓延すると、飲食店向けの卸売業は大打撃を受けた。これを機に佐々木氏は事業の転換を決意し、経済産業省の事業再構築補助金制度に申請、見事採択された。そして2021年、株式会社北前船として法人化し、コロナにより稼働停止となっていた野辺地町の産直施設「のへじ活き活き常夜燈市場」の管理運営者として再起を図ることにした。この新たな施設では、地元の新鮮な海鮮を取り入れた食事提供が行われ、青森食材を新たな形で発信していく予定だ。
超希少品種「こうとく」の魅力
青森県で育成されるりんごは約50種類にも上るが、中でも「こうとく」は特に珍しい存在だ。小ぶりながらもその蜜の量は圧倒的で、パイナップルのような独特の風味を持つ。このプロジェクトでは、樹木オーナー権の販売を行い、支援者には定期的に樹木の生育状況や生産者からのメッセージを届けることで、青森の自然と文化を感じられる体験を提供する。
オーナー権を持つことで味わえる特別な体験
樹木オーナーとなった場合、収穫されたりんごはすべて自宅へ配送されるだけでなく、ジュース加工も可能。特に「こうとく」を使用したジュースは、通常のりんごとは異なり、濃密で芳醇な味わいが楽しめる。また、リターンには有機農法で育てられた「ながいも」畑のオーナー権や、野辺地特産の活ほたて、青森名物「大鰐シャモロック鍋セット」など、多様な選択肢が用意されている。
地域とともに成長する新たな場の誕生
11月には、「のへじ活き活き常夜燈市場」がリニューアルオープンする。新たに食材加工場やイートインスペースが設けられ、全国の飲食店向けに鮮魚の加工や販売も行う予定だ。これにより、青森の食材をさらに多くの人々に楽しんでもらえるきっかけを作りたいと佐々木氏は意気込んでいる。青森の魅力を全国に、さらには世界に届けるための挑戦が始まった。
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