新たな地政学のシナリオ「もしロシアがウクライナに勝ったら」
2025年の6月17日、株式会社早川書房より新たな書籍『もしロシアがウクライナに勝ったら』が出版される。この書籍は、軍事と安全保障に関する専門家、カルロ・マサラによって執筆されており、ウクライナ戦争後の未来を描いた衝撃のシミュレーション作品である。原書は既にドイツで大きな話題となり、シュピーゲル誌のベストセラーリストでトップを獲得したため、日本国内でも注目度が高まっている。
ウクライナ戦争が引き起こす未来のシナリオ
本書では、ロシアがウクライナに勝利した場合のシナリオを詳細に展開している。特に注目すべきは、日本にも関連する南クリル諸島の問題である。ロシアがこれらの土地を容易に自国のものとする可能性がある中、中国が日本の尖閣諸島に対しても同様の戦略を取るとしたら、何をもってそれを阻止できるだろうか?そのため、この本は日本の読者にも大変重要な内容となっている。
マサラ教授は、軍事・安全保障の視点から未来地政学的シナリオを展開。同書には、ロシアの勝利後に生じるさまざまな現実が描かれ、2028年にはロシア軍がバルト三国に攻撃を仕掛けるという不安な未来についても言及されている。これは今後の軍備増強を怠ってきたNATOに対する警鐘であり、NATOが果たして結束して行動を起こせるのか疑問も呈されている。
具体的なシナリオの数々
本書には多くの具体的なペルソナやシナリオが盛り込まれている。以下にいくつかの例を挙げる。
- - プーチン大統領が政界から退くも、金融界出身のカリスマ指導者が後任に就任する
- - ウクライナでゼレンスキー大統領が選挙に敗北
- - 中国が南シナ海においてフィリピンとの領有権争いを激化させる
- - ドイツの防衛企業のCEOの乗った航空機がロシアのミサイル攻撃により墜落
このような視点から国際政治の動向が見えてくる。本書は184ページというコンパクトなサイズにもかかわらず、読み応えのある内容となっている。
奥山真司氏の解説も収録
さらに、本書の巻末には、地政学者・奥山真司氏による解説も収録されており、彼の見解を通じて本書のシナリオに基づく日本への影響が述べられている。これにより、軍事や国際情勢についての知識を深める良い機会となるだろう。
誰にオススメの一冊?
本書は、国際情勢や軍事に興味のある読者、またビジネスパーソンにも最適である。現代の世界秩序がどのように変わるかを考える上で重要な視点が提供されているからだ。さらに、本書のテーマは、「ロシアが勝利した場合に何が起こるのか」というものであり、政治的無関心を打破し、安全保障についての現実的な議論を促すことを目的としている。
まとめ
『もしロシアがウクライナに勝ったら』は、未来の国際情勢を見越したシミュレーションを描いた一冊であり、様々な立場から読者にとって考えさせられる内容となっている。これからの世界情勢に興味のある方は、ぜひ手に取ってみてほしい。
書籍情報
- - 書名:もしロシアがウクライナに勝ったら
- - 著者:カルロ・マサラ
- - 訳者:鈴木ファストアーベント理恵
- - 発行:株式会社早川書房
- - 定価:1,760円(本体1,600円+税)
- - 発売日:2025年6月17日