2023年7月以降、首都圏の中古マンション市場で顕著な価格上昇が観察されています。東日本不動産流通機構のデータによると、2025年1月には成約の㎡単価が1990年11月のバブル期を超え、過去最高水準に達しました。この急激な価格高騰の背景には、何らかのシグナルが存在するのかを分析しました。
まず重要なのが、2023年7月に成約価格の㎡単価が新規登録価格を上回るという異例の現象が発生したことです。この状態は2024年7月まで続き、一般的には新規登録価格が成約価格を上回るのが通常とされています。成約価格が新規登録価格を超える場合、通常は市場に何らかの異常が起きていると言えます。これは、市場の予測を上回る急激な価格高騰が起きているか、高価格帯物件が多く取引されていることが原因と考えられます。
首都圏内での成約㎡単価の推移をみると、東京都だけが右肩上がりに価格を上昇させている一方で、神奈川、千葉、埼玉の各県は横ばいを保っています。特に東京都内の都心5区において、㎡単価の高い物件が多く取引されている状況が明らかになっており、価格上昇の主因となっています。
しかしながら、2024年8月以降、成約㎡単価は高止まりを維持しつつ、新規登録価格は逆に急騰しました。この動きは、成約価格が上昇したことから売主側に過剰な期待感が生まれ、相対的に高い価格を付けるようになった結果だと考えられます。
興味深いことに、再販市場に目を向けると、2020年から2023年にかけて売主企業数は急増するも、2023年以降は逆に減少傾向にあります。この撤退は、仕入れ価格の高騰など市場環境の変化によるものと見られ、消費者の期待とは裏腹に、専門家たちはやや慎重な姿勢を見せています。
マンションリサーチ株式会社の福嶋総研が分析したこのデータは、不動産市場が現在どのような状況にあるのかを如実に示しています。消費者の期待感が不動産プロの動向と乖離している今、市場は一体どの方向へ進むのか、今後の動向に注目です。