ニッセイ・ウェルス生命保険がマルチクラウド移行を実施 TISと共に新たなシステム基盤を構築

ニッセイ・ウェルス生命保険が導入した新しいクラウド基盤

最近、ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社がTIS株式会社と連携し、保険契約を管理する基幹システムのマルチクラウド移行を成功させたというニュースが話題になっています。この取り組みは、TISの「マルチクラウドインテグレーションサービス for Oracle Cloud Infrastructure & Microsoft Azure」を活用し、2023年の初頭から始まったプロジェクトで、2024年9月に完了する予定です。

ニッセイ・ウェルス生命のクラウドジャーニー

ニッセイ・ウェルス生命は、金融機関を通じて資産形成や承継を支援する企業であり、現在保有する契約件数は60万件を超えています。IT本部は、2018年に「クラウドジャーニー構想」を立ち上げ、データセンターからの脱却を目指し、2021年には100以上の業務システムをMicrosoft Azureに移行。2022年には仮想デスクトップ基盤のAzure移行も果たしました。

その後、保険業務に欠かせない保険契約管理システムのクラウド移行が求められるようになりましたが、これには可用性や堅牢性が求められ、ニッセイ・ウェルス生命にとって初の試みとなりました。Oracle Databaseを使用していたため、クラウド移行にあたっては新規ライセンスが必要とされ、コストが大きな課題となりました。しかし、OCIを利用することでこのコストを抑え、マルチクラウド環境を実現することができました。

施工パートナーとしてのTISの選定理由

TISは、「マルチクラウドインテグレーションサービス for Oracle Cloud Infrastructure & Microsoft Azure」を提供しており、このサービスは、AzureとOCIを組み合わせたクラウド基盤の設計・構築を一元的に支援します。ニッセイ・ウェルス生命は、これまでのTISとの関係を評価し、技術の深く理解していることを理由に選定しました。

プロジェクトの進行

2022年の末からプロジェクトが開始され、2023年の1月にはPoCを実施。この過程で、Oracle Databaseが安定して稼働することが確認されました。その後、9月からは要件定義や設計フェーズに入り、約1年間でマルチクラウド環境の構築が進められました。情報漏洩を防ぐために、AzureとOCI間の接続はインターコネクトを通じて行い、専用線による接続も採用されています。

2024年の3月には、システム移行のリハーサルが数回行われ、本番移行に向けた準備が整いました。これにより、新システムへの利用がスムーズに開始されました。

新システムの効果

新しいマルチクラウド環境は、安定稼働が期待に応えています。具体的には、OCI上に堅牢なDB基盤を構築し、情報照会のレスポンス改善やバッチ処理の高速化が実現しました。特に、保険契約に関する計算処理の短縮が顕著です。

ニッセイ・ウェルス生命のIT本部は、今後もクラウドネイティブなサービスを組み合わせて機能向上を目指す方針です。TISの技術支援に期待を寄せ、さらなる進化を目指していくというコメントも寄せられました。

このマルチクラウド移行の成功事例は、今後のIT基盤の進化においても注目されるポイントとなるでしょう。

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