世界に一つしかない美術品的純米大吟醸「十粋」の全貌とは

山口県萩市の八千代酒造合名会社が、国際的な日本酒コンペティションで金賞を受賞した純米大吟醸「十粋（トウスイ）」の一般向け販売を2025年4月1日から開始します。この日本酒は、ここ萩の地で培われた文化と技術が結集された逸品であり、世界に1000本だけが生産されることから、各ボトルが美術品としても享受される価値を誇ります。

「十粋」誕生の背景

八千代酒造は、日本酒の生産量が約40年前の三分の一に減少する中で、「日本酒の未来を切り拓く」という使命に取り組み、2023年から「十粋」プロジェクトを立ち上げました。女性杜氏蒲久美子氏が指揮を執り、プロデュースは株式会社AND.ioが担当。萩の文化を基に最高級の日本酒を作り上げるために、開発には2年以上の歳月と努力が注がれました。これまで関係者のみに提供されてきた「十粋」は、その国際的な評価を経て、一般向けに販売されることになりました。

5つの革新性

1. 農醸一貫生産

「十粋」は全ての工程を萩市内で完結させる「All 萩」を実現しました。自社田での酒米栽培から瓶詰め、パッケージに至るまですべてを地元の職人が手掛けており、これは日本酒業界で非常に稀有な存在となっています。

2. 女性杜氏の繊細な味わい

女性杜氏として全国で約2%しかいない蒲久美子氏の手による「十粋」は、伝統的な日本酒の枠を超えた香りと味わいを持つ独創的な商品です。

3. 奇跡のバランスと温度による味変化

アルコール度数を従来の純米大吟醸の倍以上となる27%に設定し、透明感とフルーティーな香りを引き出しました。大将山から湧き出る中硬水を使用し、透明感の中に旨味を感じさせるバランスが絶妙です。さらに特注のスリーブにより、飲む温度によって多様な味わいを楽しめます。

4. アートとの融合

パッケージには萩出身のアーティスト、Satoshi Tamura氏が手掛けた原画が採用されており、江戸時代から続く「岩川旗店」の職人が作成した特注スリーブにはTamura氏の作品の異なるデザインが施されています。このため、全てのボトルが唯一のコレクションアイテムとしての価値を持っています。

5. 国際的評価

「MONACO SAKE AWARD」の純米大吟醸部門において、2024年2月に世界25カ国から出品された780銘柄の中でGOLDを獲得。審査員からは「日本酒の概念を覆す逸品」として高く評価されております。

蒲久美子氏の言葉

「十粋」という名前には、地元萩の魅力を十に集め、さらには選び抜かれた粋、透き通る水のような清らかさ、心を奪われる陶酔感など多面的な意味が込められています。日本酒離れが進行する現代で、若年層や女性、世界中の人々に新しい日本酒体験を届けたいという思いを詰め込みました。135年の歴史ある蔵での伝統と、女性ならではの感性を融合させた、私の自信作です。」