直木賞候補作家が描く!科学と真実の戦いを描いたミステリ小説『科捜研の砦』
「われは熊楠」で第171回直木賞候補にノミネートされ、注目を集めている作家、岩井圭也氏の最新作『科捜研の砦』が、2024年6月28日に発売されました。
本作は、第76回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉候補作にもなった『最後の鑑定人』の前日譚。孤高の鑑定人、土門誠が科捜研の若きエースとして活躍した過去に迫る短編ミステリです。
いつも冷静沈着な土門が、初めて見せる真実を暴くことへの苦悩と葛藤。その姿は、読者の心を揺さぶるだけでなく、科学の力と人間の心の複雑さを浮き彫りにします。
あらすじ
科捜研トップと言われる鑑定技術力と幅広い知識、そして、類まれな愛想のなさで警察内部でも有名人の土門誠。死因究明に並々ならぬ熱意を捧げ、「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門は、遺体に残されたわずかな証拠を見逃しません。
そこに隠されているのは、どれほど残酷な事実であっても、土門は必ず真実を追究します。事件の真相に迫るにつれて、土門自身の過去や、彼が抱える心の闇も明らかになっていきます。
作品の魅力
本作の最大の魅力は、科学と人間の心の対比にあります。冷静沈着な土門は、科学的な証拠に基づいて真実を解き明かしていきます。しかし、事件の真相に迫るにつれて、土門自身の心の葛藤も明らかになっていきます。
科学は客観的な真実を示しますが、人間の心は複雑で、ときに矛盾や葛藤を抱えています。その対比が、本作に深みを与え、読者を魅了するのです。
著者の言葉
「たとえ神が見放したとしても、科学は彼を裏切らない」
この言葉が示すように、岩井圭也氏は、科学の力を信じながらも、人間の心の複雑さを深く理解しています。その洞察力が、彼の作品を魅力的なものにしており、読者の心を強く惹きつけます。
まとめ
『科捜研の砦』は、科学と人間の心の対比を描いた、深みのあるミステリ小説です。科学的な証拠と人間の心の葛藤、その複雑な関係が、読者の心を揺さぶる。ぜひ、この作品の世界に足を踏み入れてみてください。