大阪で進化する重症心身障害児の歯科医療
近年、重症心身障害児の中で、歯科受診を受けたことがないケースが依然として多い現状があります。驚くべきことに、約3割の子どもたちが未受診だと言われています。この問題を深刻に受け止めた大阪上方ロータリークラブが、専門医との連携を図り、施設内での歯科検診と治療体制を構築しました。
大阪上方ロータリークラブの取り組み
このクラブは、ポリオ撲滅や子どもへの奉仕を重点的に行っています。昨年度には、大阪赤十字病院附属の大手前整肢学園において歯科検診を実施し、治療体制の構築を果たしました。また、パキスタンでのポリオワクチン投与や、両国の衛生環境を改善するプロジェクトにも取り組んでいます。
今年度も同学園の園児に対して継続的に歯科検診を実施しました。医療型障害児入所施設で、ここには運動障害や知的障害を持つ子どもたちが多く、医療とリハビリが提供されていますが、歯科治療の機会は少ないのが現状です。
検診の実施内容
検診は9月から10月の間に、歯科医師、歯科衛生士、医療バージョンのロータリー会員とともに行われ、34名が対象となりました。検診対象者の年齢層は1歳2か月から37歳1か月までと幅広く、これまでに歯科医受診をしたのはわずか2名。多くは初めての歯科検診となりました。
検診結果が示す通り、専門的な介入が行われていないため、口腔内の状態は非常に悪化しており、重度の歯周病や歯石沈着が目立つ子どもが多く見受けられます。これにより、早急に治療が必要な患者もいたのです。
治療体制の整備
この状況を打破するべく、施設の医療スタッフには日常的な口腔ケアを提案し、必要な患者については、大阪赤十字病院や大阪府歯科医師会などとの連携を取り、受診体制を整備しました。これにより、治療が必要な方々が適切な医療を受けられる環境が整いつつあります。
これからの活動
さらに、12月には室内で過ごす時間が長い園児たちのためにテレビ3台を寄贈し、クリスマスシーズンに合わせてケーキもプレゼントします。これは昨年に引き続き行われるもので、今後も継続的に歯科検診や治療支援を行っていく意向です。
若い会員が多く、情熱的に奉仕活動を行う大阪上方ロータリークラブは、2024年7月22日に正式に認証を受けた新しい団体ですが、その活動の意義と影響力がすでに地域に浸透しています。これからも重症心身障害児への支援を強化し、彼らの生活の質を高めるための活動が期待されています。