最近、AI技術の進展に伴い、企業のプロジェクトマネジメントがどのように変わっていくのかを深堀りするイベントが行われました。このイベントは、デジタルエンジニアリングを手掛けるAKKODiSと日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)の共催で、参加者はプロジェクトマネジャーや将来この職業を目指すビジネスパーソンが中心となりました。特に、AKKODiSの川崎健一郎代表取締役社長とPMAJの加藤亨理事長から、それぞれ独自の視点でプロジェクトマネジメントの重要性とその進化について説明がありました。
イベントは、まずAKKODiSの田中健司氏が同社におけるプロジェクトマネジャーの役割やキャリアパスについて解説しましたが、続いて加藤氏が「企業の価値創造を持続的に支えるプロジェクトマネジメントの意義」について講演しました。加藤氏は日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れや国際競争力が低下している現状に触れ、その原因としてIT開発における外注依存の強さや、企業内のIT人財が不足していることが挙げられると指摘しました。
加藤氏は、プロジェクトマネジメント導入を通じてこれらの課題の克服が必要であり、具体的には複数プロジェクトの統合管理を通じて企業の戦略とIT投資の整合性を図る必要性があるとしました。また、導入すべきモデルとして「P2M(プログラム&プロジェクトマネジメント)」の活用が提案され、さらに「ものづくり」から「仕組みづくり」へのシフトが必要であることが訴えられました。
次に、川崎健一郎氏がAIがもたらすプロジェクトマネジメントの未来について議論しました。彼はプロジェクトマネジメントと経営者としての経験を通じて、日本企業のITプロジェクトの現在の課題を4つにまとめました。特に短期的な業務効率化のみならず、中長期的には次世代ビジネスの創出が求められています。さらに、品質やコスト、納期(QCD)の悪化、部門毎の固定予算の硬直性、外部ベンダー依存の影響など、様々な要因が新たなビジネスモデルの流れを妨げていることに言及しました。
川崎氏は、AIの進化に期待を寄せ、開発の自動化やアジャイル開発の重要性を強調しました。彼の主張する「Fusion(融合)」の概念は、発注者と受注者が密接に連携し、共通の目標を持ってプロジェクトを推進することで、新たな価値を創出する姿勢を象徴しています。この視点をもとに、プロジェクトマネジャーは戦略的パートナーとして振る舞い、AIと共にその役割を再定義する必要があるとしました。
イベントの後半では加藤氏と川崎氏によるトークセッションが行われ、参加者との活発な意見交換が見られました。「プロジェクトエコノミー」としての新たな形の価値創造の重要性や、AI技術がプロジェクトマネジメントに与える影響についての考察が行われました。特に、AIが人間の創造性を補完し、より価値のある成果を生み出す役割に注目が集まりました。
このイベントは、リアルタイムでの参加者からの質問や意見を受け付けることにより、プロジェクトマネジメントの未来に対する理解を深める貴重な機会となりました。参加者のアンケートでは満足度が高く、AI時代における価値創出の方法について議論されたことが好評を博しました。
今後、AKKODiSはそのビジョン「日本企業を、世界企業へ、現場変革から。」に基づき、国内の企業との優れたパートナーシップを築き、さらに新たなソリューションの提供を進めていくでしょう。彼らの取り組みが、今後のプロジェクトマネジメントの進化にどのように寄与していくのか、その動向に目が離せません。