歯列矯正の現状
日本において、歯列矯正を受ける人の割合は約14%から21%とされ、国際的に見て非常に低い水準です。具体的に、アメリカでは50%から58%の人々が矯正治療を受けているのに対し、日本はその半分にも届かない状況です。この背景には、矯正装置に対する抵抗感や、痛みについての不安が影響しています。また、「八重歯」がかわいいとされる文化的な側面も、矯正治療へのアプローチが遅れている要因の一つと考えられています。
調査概要
株式会社ナビットは、全国のモニター会員1000人を対象に歯並びに関するアンケートを実施しました。
- - 調査期間:2024年8月
- - 調査方法:Webアンケート
- - 有効回答数:500人
第一印象と歯並び
アンケートの結果から明らかになったのは、53.7%の人が「歯並びが第一印象をある程度左右する」と考えており、また38.2%は「大きく左右する」と答えています。合わせて91.9%が、歯並びが人の第一印象に影響を与えるという意識を持っていることが分かりました。
自分の歯並びに対する意識
「自分の歯並びがどの程度気になるか」という問いに対して、最も多かったのは「気になるが今のままで良い」という回答で54.6%でした。「気になるために矯正治療をした・している」と答えたのはわずか19.4%で、実際に矯正を受けている人は少数派でした。
料金が最も重視される
歯列矯正を考える上で最も重視される点は「料金」でした。この調査では、38.7%がこれを最優先とする一方で、「歯医者の評判」や「治療期間」に関してはそれぞれ10.5%、7.6%と、相対的に重要度が低い結果となりました。
人気の矯正装置
歯列矯正で使いたい装置に関するアンケートでは、21.2%が「マウスピース矯正」を選び、次いで「裏側矯正」が17.9%、最も伝統的な「ワイヤー矯正」は6.5%でした。透明で目立ちにくいマウスピース矯正の人気の高さが伺えます。
不安要素としての生活への影響
歯列矯正に対する不安についてのフリー回答からは、痛みや生活への影響が特に多く指摘されました。「痛みで食べることが困難になるのでは」「不適切な歯医者に出会ってしまうと大変だ」という懸念が見受けられました。
矯正治療の適切なタイミング
一般には、矯正治療を開始するのに最適な年齢は7歳前後とされており、この頃に歯科医を受診することが推奨されています。乳歯と永久歯が混在するこの時期に、将来の治療の複雑化を避けるための早期発見ができるからです。また、9歳から14歳の間は治療を開始するのに最も適した期間であり、この時期に矯正を行うことが特に効果的とされています。
成人でも矯正は可能ですが、成長が終了しているため、治療にかかる時間が長くなることがあります。それでも、透明なアライナーなどを通じて、子どもから大人まで幅広く選択肢が増加しているのが現状です。
まとめ
調査結果から、歯列矯正に対する日本人の意識の分布が明らかになりました。文化的な背景や価格の懸念から、矯正治療を躊躇する人々が多いものの、目立たない治療法の普及により、徐々に関心が高まりつつあることも示唆されています。辛抱強く、適切な時期に専門医の診察を受けることが、最適な治療を受けるための第一歩です。