障害年金申請の複雑さに直面する約4割の人々
近年、精神的な疾患を抱える人々にとって重要な支援制度である障害年金。しかし、申請手続きがあまりにも複雑であるため、申請を諦める人の数が増加しています。社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズによる調査で、約4割の当事者が障害年金申請の難しさを実感していることが明らかになりました。特に、医師からの診断書作成が困難なケースが多く、制度の複雑さと医療現場の連携不足が問題視されています。
調査の概要
調査は全国の障害年金申請者のうち、571件の「お客様の声」を分析した結果に基づいています。調査対象としては、主にうつ病患者が選ばれました。その結果、37.3%の人が制度の難しさに悩んでおり、9.8%が医師に関する問題を抱えていました。
実際の声
- - 「障害年金は複雑で分かりにくい。認定されなかったらどうなるのか。」(千葉県・30代男性)
- - 「書類が多すぎて、専門知識がないと申請できない。」(大阪府・40代女性)
- - 「一度申請しようとしたが、書類を見た瞬間に手がつけられなかった。」(東京都・50代男性)
- - 「年金事務所では簡単だと言われたが、実際にはどのように申請すればよいのかわからなかった。」(神奈川県・40代女性)
障害年金を受給するには、条件があります。初診日、保険料納付要件、障害の程度などが整う必要がありますが、精神疾患の場合は「日常生活上の制限」という抽象的な基準で評価されるため、特にやっかいです。このため、複雑な書類作成は患者には大きな負担となるのです。
医師への依頼の難しさ
「医師や診断書で悩んだ」という人は9.8%。その中の42.9%が診断書の作成を断られたか、非協力的だったという報告がありました。
実際の声
- - 「通院しているクリニックで診断書をお願いしたが、断られた。」(大阪府・S.Mさん)
- - 「短時間でも仕事をしているから受給は難しいと言われた。」(埼玉県・40代女性)
- - 「受給を詐欺行為のように扱われ、悲しくなった。」(東京都・30代男性)
医師は専門家ですが、障害年金制度の知識が不足しているため、診断書作成に困難を感じる場合があります。この診断書は申請プロセスにおいて重要な役割を果たしており、医師とのコミュニケーションが欠かせません。
専門家の見解
調査を受けて、宮里竹識代表は「制度の構造的な複雑さ」と「医師の診断書作成のボトルネック」が二重のハードルになっていると語ります。
制度の複雑さ
障害年金の申請には、さまざまな書類を整えなければならず、それぞれを矛盾なく用意する必要があります。また、精神疾患に関する等級も、抽象的な基準で判断されるため、書類の整合性が難しいのです。
医師との連携
医師と円滑な連携が取れない場合、診断書の作成が拒否されるケースが多いです。医師には医学的な知識だけでなく、制度の実務に関する理解も求められます。
障害年金支給に向けたポイント
宮里氏は、以下のポイントを抑えることをおすすめしています。
1.
初診日の確認:カルテや受診状況証明書の確認を早めに行う。
2.
診断書の依頼状:医師に負担をかけない依頼状とともに情報の下書きを送ることで、記載漏れを防ぎやすくなる。
3.
申立書の整合性:診断書と申立書を整合させ、具体的かつ一貫性のある内容にする。
まとめ
障害年金は、精神的な疾患を抱える方々にとって非常に大切な制度です。しかし、申請のプロセスには多くの障壁が存在します。私たちは、医師との連携を円滑にし、全ての人が適切に公的支援を受けられる社会を目指しています。私たちのサポートを通じて、一人でも多くの人が生活の安定を確保できることを願っています。