2024年のIPO市場動向
2024年の世界のIPO市場は、全体として前年同期と比較してやや低迷しましたが、地域ごとに異なる動きが見られました。特にAmericasやEMEIA地域では、IPO活動の回復が目立つ一方、Asia-Pacific地域は引き続き厳しい状況が続いています。
世界のIPO件数と調達額
EYの発表によると、2024年には全世界で1,215件のIPOが実施され、調達額は1,212億米ドルに達しましたが、これは前年と比較してそれぞれ10%と4%の減少となっています。この中でインドが初めてIPOの件数で世界首位に立ち、米国が調達額でのトップに返り咲きました。特に米国のIPO市場は、引き続き魅力的な環境が整っており、外国籍企業の新規上場も過去最高の55%に達しています。
地域別のパフォーマンス
- - Americas: 205件のIPOで331億米ドルの調達を実現し、2021年以来の最高記録となりました。
- - EMEIA: 522件のIPOで532億米ドルを調達、全世界の上位10件のIPOのうち6件を占めています。
- - Asia-Pacific: この地域は、件数が35%、調達額が51%も減少し、依然として低迷しています。
プライベートエクイティの影響
プライベートエクイティ(PE)およびベンチャーキャピタル(VC)が支援する企業のIPOが全体の46%を占めるなど、これらの機関の影響力が拡大しています。2024年の20件のメガIPOのうち、12件がPEの支援を受けており、これは昨年の2件から大幅な増加を示しています。また、ユニコーン企業も18社がIPOを実施しています。
セクター別の動向
テクノロジーやメディア・エンターテイメント、製造業などのセクターは、合わせて60%のシェアを持ち、件数・調達額ともに強い存在感を示しています。特にAI企業に対する投資家の関心が高まっており、約60社が現在IPOを申請中で、さらに400社以上が控えています。
また、暗号通貨関連の企業も活発な動きを見せており、今後の市場拡大が期待されています。
政治的影響と未来の見通し
米国の大統領選挙の結果もIPO活動に影響を及ぼす可能性がありますが、過去の傾向から言えば選挙後にはIPO活動が活発化すると思われます。これに伴い、さまざまなセクターで上場を目指す企業が増えることが予想されます。
2025年に向けては、地政学的な緊張やAI、ESGといった新たなトレンドがIPO市場に与える影響が注目されます。これまでの回復基調を引き継ぎつつ、各地域特有のエコシステムが形成されている現在、IPO市場は今後も活性化していく可能性があります。
まとめ
EYのリーダーたちも語っているように、ビジネスの成長に向けた資金調達手段としてのIPOの重要性は高まり続けています。2025年以降も、世界のIPO市場はさらなる成長を期待できるでしょう。