GEヘルスケア・ジャパンが新たな超音波診断装置を発表
2025年9月19日、GEヘルスケア・ジャパン株式会社が、新型の超音波診断装置「Vscan Air SL Ally」を日本国内にて販売開始しました。この製品は、AI機能が搭載されたポケットサイズの超音波診断装置「Vscan」シリーズの最新モデルです。本記事では、この新しい装置の特性や、それが医療現場にもたらす影響、そして高齢化社会の医療課題について詳しく解説します。
Vscanシリーズの進化
「Vscan」シリーズは、非侵襲でありながら、簡単に画像診断を行える手のひらサイズの超音波診断装置です。2010年に日本での販売が開始されて以来、約15,000台以上が販売されており、その持ち運びやすさ、患者のアクセスの良さから多くの医療機関で活用されています。特に、2021年にはワイヤレス化が実現しました。
AI機能の特徴
新型「Vscan Air SL Ally」には、心エコー検査を支援するための2つのAI機能、「Cardiac Guidance」と「Cardiac Interpretation」が搭載されています。
1.
Cardiac Guidance
- この機能はリアルタイムで操作者をサポートし、プローブの位置や角度、操作方法などを画面上で指示します。また、画像品質を示すインジケーターも備えており、適切なスキャンを実施するための道を提供します。さらには、一定の品質が確保された際には、自動で画像を保存する機能もあります。これによって、心エコー検査の正確さと質が向上し、教育機関や病院でのトレーニングにも役立つことが期待されます。
2.
Cardiac Interpretation
- こちらは、取得した心エコー画像をAIが解析し、左室駆出率(LVEF)を自動で算出します。5万件以上の心エコー画像を利用したディープラーニングにより、熟練した医師と同等の精度を提供します。これにより、診断のスピードと質が両立し、短時間での心機能評価が可能になります。
医療現場の課題と解決
日本では高齢化が進み、心不全の患者数が増加しています。同時に、在宅医療への需要も増加すると予想され、プライマリケアでの心エコーのニーズが高まっています。しかし、心エコー検査は技術者のスキルに大きく依存しており、「検者間誤差」の問題が長年の課題となっています。実際に、心エコーを実施する開業医の約10%が自信を持てず、その結果、心エコーを日常的に行っていない実態があります。これらの課題に対し、「Vscan Air SL Ally」はAI機能を活用し、医療従事者にとっての「味方」として、心エコー検査の質と精度の向上を目指します。
アップグレードの提供
「Vscan Air SL Ally」のAI機能は、既存の「Vscan Air SL」ユーザー向けに、有償のアップグレードとして提供されます。これにより、さらに多くの医療現場での導入が進むことが期待されます。
まとめ
GEヘルスケア・ジャパンは、今後も日本国内の医療課題を解決するため、最先端の技術と製品を提供し続けることでしょう。新型「Vscan Air SL Ally」が、医療現場での質の高い診断と、信頼性のあるケアを実現する一助となることを願っています。医療従事者が安心して使用できる環境づくりは、今後の医療の質を高めるための重要なポイントです。