中小企業の賃上げ状況と効果に関する最新調査
株式会社フォーバルのGDXリサーチ研究所が発行した「BLUE REPORT 11月号」によると、中小企業の賃上げ実施率は66.3%に達しています。これは、2025年に入ってから新たに賃上げを実施した企業の15.4%と、以前から賃上げを行っていた企業の50.9%を合わせた数値です。昨年の調査に比べても、賃上げを行う企業が着実に増加していることが伺えます。
賃上げ率の実態
実施された賃上げの中で最も多かったのは「2%〜3%未満」で、18.6%の企業がこの範囲の賃上げを行っています。次いで「1%〜2%未満」が18.1%、「3%〜4%未満」が14.6%と続いており、実施した企業の約半数が1%〜4%未満の間で賃上げを行っていることが確認されました。
この調査結果は、賃上げを実施した企業が労務費の見直しを行うなどして、価値向上に努めている証左といえるでしょう。特に建設業界では、働き方改革や資材コストの上昇が影響し、賃上げに積極的な取り組みが見られます。
賃上げがもたらす効果
賃上げの効果を実感している企業は42.2%で、具体的には「とても効果があった」と感じている層が8.9%、また「ある程度効果があった」という企業が33.3%を占めています。しかしながら、最も多い回答が「どちらともいえない」という34.0%であり、まだ効果を見定めている企業が多いことも示唆されています。
賃上げが職場環境や経営に与えた影響についての調査も行われ、「従業員のモチベーション向上」が85.6%という高い割合を占める結果となりました。一方で、「離職率が低下した」「生産性が向上した」と感じる企業も一定数あり、賃上げがもたらすポジティブな効果についても注目されています。
中小企業支援の重要性
中小企業は日本経済の根幹を支える存在ですが、賃上げに向けての支援も重要です。政府は助成金や税制優遇を通じて、中小企業の賃上げを後押ししています。特に、2024年からの賃上げ促進税制の強化については、多くの企業が注目しています。
また、価格交渉促進月間の設置や、取引適正化法の施行なども、中小企業が労働環境を改善するための新たな施策として存在しています。企業側からは、自社の経営実態をふまえた上で、これらの支援策を積極的に活用する動きが求められています。
結論
中小企業の賃上げ実施率は確実に増加しており、雇用環境の改善に寄与していることが判明しました。しかし、賃上げの効果を実感できている企業は半数に満たず、今後の持続可能な賃上げを進めるためには、企業と政府の協力が不可欠です。賃上げがユーザーや経営を支えるための必須要件であることを踏まえると、今の取り組みの重要性が改めて認識されます。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、今後も中小企業のGDX(Green Digital Transformation)を推進するための調査と発信を続けていきます。詳しい調査内容は
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