老舗洋食店『グリルにんじん』が道を切り開く
京都市左京区に位置する「グリルにんじん」は、1978年に創業された洋食店です。この店は、創業者である故近藤政司氏が守り続けた洋食の味を今に伝えていますが、創業から数十年が経過し、さまざまな挑戦に直面している状況です。経営を引き継いだのは彼の息子である近藤太地氏。父の思いを胸に、彼は小さな店舗で洋食文化を次世代に受け継ぐ決意を新たにしています。
受け継がれる強い意志と文化
近藤太地氏は30歳の時にグリルにんじんの事業を引き継ぎましたが、経営は決して順風満帆ではありません。コロナ禍を乗り越えた後も、物価の高騰や人手不足といった問題が立ちはだかっており、店舗維持に対する課題は山積みです。
「今回のクラウドファンディングを通じて、父が築いた洋食文化を次世代へつなぐための挑戦です。」と彼は語ります。近藤氏は、父が信じてきた洋食は、ただ食べるための文化ではなく、人々を結びつける重要な役割を担っていると感じています。
職人の信念と父との衝突
当初、近藤氏は大学を卒業し、家業を離れていましたが、父の「もう続けられない」という言葉に心を強く打たれ、事業を引き継ぐ決意を固めました。父は非常に職人気質で頑固な性格で、経営改革を提案しても簡単には譲ることはなく、衝突が続いたと言います。それでも、父の背中を見て育った近藤氏は「自分を育ててくれた店を守りたい」という思いを抱き、法人化して経営を立て直しました。
「本物の味を届ける」ことを信念に、父の味を引き継ぎ、店舗の維持やスタッフの教育にも目を配りながら、事業を進めてきたのです。
様々な試練を乗り越え
近藤氏の父は、77歳で末期がんと診断されました。父が病に倒れたことで、店の運営は大きく変わりましたが、彼にとっては教訓でもありました。病院での父から渡された封筒には、絶縁状態だった弟への資金が入っており、決して口に出さない父の愛情と家族の絆を感じたのです。
「父が望んでいたのは、家族が一つになることだと感じました」と近藤氏。「その想いを受け継ぎ、家族だけでなく、地域の方々とも一体となってこの店を守り、さらなる発展を目指したい」と話します。
クラウドファンディングの挑戦
近藤氏は、父が守ってきた味と文化を次世代へ継承するために、クラウドファンディングを立ち上げました。これは単なる資金調達ではなく、彼の理念である「日本の洋食文化を守り、広める」という目的を持った挑戦です。
リターンには、実際に店舗で使えるお食事券や、遠方の方にはワインやオリジナルグッズの提供が予定されています。近藤氏は、「私たちの挑戦をどうか応援していただければと思います。父の想いと、私たちの店を未来へとつなげていくために、皆様の温かいご支援が必要です」と心から呼びかけます。
未来への期待
飲食業界が厳しい状況にある中で、近藤氏は父の信念を継ぐために日々努力しています。近藤氏が店を引き継ぐことで、父が築いた味と文化を守りつつ、さらに新たな価値をこの店に加え、多くの人々に愛される場所へと成長させたいと考えています。
「父が守り続けた味をこれからも大切にし、多くの人に伝えていきます。ぜひ皆さんのご支援をお願い申し上げます」と力強く語る近藤氏。彼が描く未来には、父が築いた歴史が脈々と受け継がれ、地域の洋食文化がさらに豊かになることが期待されます。
【店舗情報】
- - 店舗名: グリルにんじん
- - 所在地: 京都市左京区一乗寺出口町51−2
- - 営業時間: ランチ 11:30~L.O.14:00 / ディナー 17:00~L.O.21:15
- - 定休日: 火曜、第3月曜
- - 総席数: 45席
- - 予約電話番号: 075-711-7210
ぜひ、皆さんもこの挑戦に参加し、グリルにんじんの未来を一緒に支えていきましょう!