シリア・アレッポ大学での特別授業がもたらす平和の希望

シリア・アレッポ大学で初授業

2025年7月24日、特定非営利活動法人なかよし学園がシリア・アレッポ大学の招待を受け、「世界とつながる学びプロジェクト」を実施しました。このプロジェクトは、戦後80年を迎えた日本が戦後0年のシリアに「いま、できること」をテーマにした教育実践です。アレッポ大学で授業を行う中村雄一氏の様子には、未来に向けた希望が感じられました。

歴史あるアレッポの現状

かつて商業の中心地として栄えたアレッポですが、2012年以降の内戦で多くが破壊され、教育インフラも深刻なダメージを受けました。戦闘は2016年に一時的に終息しましたが、教育機関は依然として人材流出や設備不足に苦しんでいます。

そんな状況において、なかよし学園がアレッポ大学に招かれることは、単なる教育交流の枠を超えた「平和への一歩」として非常に重要です。

教育を通じた平和構築

なかよし学園は、アジア・アフリカの紛争地域で15年以上にわたって教育を通じた平和支援に取り組んできた団体です。今回の授業内容は、以下の観点から平和構築に貢献しています。

1. 教育の継続と希望の再建：厳しい環境のなかでも「身近なものを教材に変える」手法を紹介し、「いまあるもので未来をつくる」というメッセージを学生に伝えました。
2. 戦後日本の事例共有：日本の復興の歩みを伝えることで、シリアの学生たちに希望を与え、具体的な未来のイメージを描く手助けをしました。
3. 異文化交流の推進：SDGsカルタやミニ四駆、竹けん玉などを通じて、日本の学生との学びの共通点を見つけ、相互理解を深めました。

授業では中村氏が、日本の戦後復興のプロセスと、教育がどのように国の再建に寄与したかを熱心に講義しました。彼の話に触れたアレッポの学生たちは、新たな視点を得ることができたのです。

学びの文化を育むために

なかよし学園は、経済産業省からの支援を受けて学校と連携したグローバル探究教育活動を展開しています。プロジェクトの一環として、鹿児島県三島村で地元の学生たちとともに実施した取り組みが、アレッポでの教育実践の参考にもなりました。この離島の子どもたちは、日本の「ものづくり」やアイデアを活かして価値を創出することを学びました。

また、茨城県守谷高校の学生が製作した「SDGsカルタ」を通じて、社会的課題に取り組む方法を学ぶ場面では、アレッポの学生から高評価を受けました。「身近なものを教材に変える柔軟な日本の教育に驚いた」との声もあり、授業の進行が学生たちの興味を引き出したことが伺えます。

和解への道を歩む

今回の授業で14年ぶりにアレッポで講義を行った中村氏は、教育の持つ力を信じ、現地の学生たちと深い交流を持ちました。彼は「アレッポの学生たちのまなざしはとても力強く、どんな困難に直面しても学びたいという情熱に満ちていた」と語ります。

2025年7月から10日間は鹿児島県でのプロジェクトも実施され、シリアの授業と同様に異なる文化に触れる貴重な体験を提供します。