千葉大学の大学院工学研究院に所属する山田泰弘准教授と理学研究院の大場友則准教授を中心とした研究チームが、低温での二酸化炭素(CO2)回収を実現する新しい炭素材料「Viciazite」の合成に成功しました。この新しい材料は、窒素を含む官能基が隣接して存在する特異な構造を持つため、従来の炭素材料よりも低温でのCO2脱離が可能です。具体的には、Viciaziteは60℃以下でCO2を効率的に回収できる能力を持ち、大気中からのCO2脱離においてコスト削減が期待されています。
研究の背景
炭素材料は、軽量でありながら比表面積が大きく、これまでCO2の吸着材として多くの研究が行われてきました。しかし、従来の材料はその構造が十分には制御されておらず、CO2との相互作用についての詳細な理解が不足していました。その中で、山田准教授のチームは触媒を使用せずに含窒素官能基を選択的に導入する方法を開発してきましたが、特に隣接した官能基を持つ炭素材料へのアプローチは未開拓の領域でした。
新しい材料Viciaziteの特徴
研究チームは、新たに合成したViciaziteにおいて、ピローリック窒素やアミノ基(NH2基)が隣接して配置されていることをNMR(核磁気共鳴)測定を通じて確認しました。特に、NH2基が隣接した構造の炭素材は、60℃以下でのCO2の脱離が可能であることが示され、大幅なコスト削減が見込まれます。この技術は、従来100℃以上での加熱が必要とされたCO2の脱離温度を低下させることに成功しました。
CO2回収の新技術としての展望
Viciaziteは、工場からの廃熱と組み合わせることで、ほぼコストをかけずに効率的なCO2回収プロセスを実現する可能性が高いです。この技術は、環境問題への対策として大きな意義を持つでしょう。また、今後はOH基が隣接した方向性を持つ新たな炭素材料「Vicioxite」も発表されており、さらなる研究が進められています。
今後の課題
研究チームは、より高い吸着能を持つ炭素材料の開発を進めるとともに、CO2回収に適した表面構造の解明を目指しています。将来的には、革新的な炭素材料の合成を実現し、環境保護に貢献することが目標です。
研究プロジェクトの支援
この研究は、一般財団法人 向科学技術振興財団などからの支援を受けており、その成果が学術誌『Carbon』において2026年2月27日に発表される予定となっています。
このように、Viciaziteは新しい炭素材料として注目される存在であり、CO2回収技術において革命的な進歩をもたらすことが期待されています。