日本企業のガバナンス成熟度、グローバル水準に迫る
本記事では、NAVEXが発表した最新レポートに基づき、日本企業のガバナンス成熟度や課題について深掘りしていきます。
NAVEXの調査とその意義
NAVEXはガバナンス、リスク、コンプライアンス(GRC)の分野で世界的に名の知られた企業であり、2026年から施行される公益通報者保護法への影響も調査したところ、58%の日本企業がコンプライアンスプログラムを「管理段階」または「最適化段階」と評価しています。この数字はグローバル平均と同水準であり、日本企業のガバナンス基盤が確固としていることを示唆しています。
しかし、調査の結果からは、さまざまな課題も浮き彫りになっています。特に、経営陣への信頼が低下していることや、通報制度の導入が遅れていることなどが顕著です。
成熟度の高さと懸念点
具体的には、日本の企業の回答者のうち約6割が、「自社のコンプライアンスプログラムは成熟度の高いレベルにある」と回答しました。一方で、コンプライアンスの重要性を経営陣が理解していると答えたのは64%、倫理的行動の模範となっていると感じているのは63%でしたが、経営利益と倫理が衝突した際に「経営層は倫理へのコミットメントを維持している」と答えたのは32%に過ぎませんでした。これはグローバル平均の50%を大きく下回る結果です。
ことし報告された「信頼のギャップ」は、日本企業が組織文化を進化させるための大きな障害であり、困難な印象を与えています。
スピークアップ文化の状況
通報制度についても注目すべきデータがあります。調査によると、日本企業の41%が「匿名で通報できるチャネル」を設けており、44%が経営層からのスピークアップの重要性についての発信があるとしています。しかし、21%の企業は「正式なスピークアップの仕組みを持たない」と回答しており、これはグローバル平均の8%を大きく上回っています。
このデータから、日本はスピークアップ文化の形成が遅れている可能性が指摘されています。例えば、日本における通報件数は100人あたり0.63件で、APAC地域の0.83件やグローバル平均の1.65件を下回っています。これにより、内部でのリスク把握が十分でないことが示唆されています。
法改正が影響する未来
さらに、2025年の法改正との関連も重要です。33%の企業は、「改正によるスピークアッププログラムへの影響はなかった」と答えましたが、23%は「調査やエスカレーションプロセスの正式化」、21%は「報復防止の周知改善」を実施したことが報告されています。これにより、日本企業の組織内での透明性や通報者保護の意識が高まっていることが窺えます。
NAVEXの展望
NAVEXのカントリーマネージャー、三ツ谷直晃氏は、「日本企業のコンプライアンス体制がグローバル水準に達していることが明らかになった」とし、次なる課題は「組織の信頼」にあると述べました。倫理を優先する姿勢が強い信頼関係を築くことにつながり、誰もが声を上げやすい文化を形成することが重要です。それが日本企業の持続可能な成長を支える基盤になるとされます。
この調査結果から、さらなる改善余地があることは明確です。NAVEXは引き続き、日本企業を支援し、誠実な組織経営を促進していく方針です。