AIとCFDを活用した室内環境予測デジタルツインの開発
新菱冷熱工業株式会社(以下「新菱冷熱」)とアジアクエスト株式会社(以下「アジアクエスト」)は、AIとCFD(Computational Fluid Dynamics)を組み合わせた新たな技術を用いて、室内環境の可視化と予測を実現するデジタルツイン「スマート・エア・ツイン」の初期版を開発しました。この技術は、今後の空調制御システムの革新に向けた基盤となることが期待されています。
背景と目的
新菱冷熱は、2030年を見据えた長期ビジョン「未来・環境エンジニアリングカンパニー」を掲げ、脱炭素社会に向けた持続可能な取り組みを進めています。一方、アジアクエストはAIやIoT、クラウド技術を用いて、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するインテグレーターとしての役割を果たしています。この2社が協力することで、室内環境の予測精度を高め、快適性と省エネルギーの両立を図るデジタルツインの構築を目指しました。
スマート・エア・ツインの特長
スマート・エア・ツインは、建物の内外の空気の流れを3D空間で可視化することで、従来の個室単位に限られたCFD解析を全体に拡張しました。これにより、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の実現に向けた重要な空調設計が可能になります。
主な機能
1.
室内環境の可視化:
- BIMデータを活用した3D表示機能。
- センサーによる温度やCO₂濃度のリアルタイム表示。
- CFD解析に基づく温度や気流の視覚化(アニメーション機能含む)。
- ユーザーの位置情報をビーコンサービスで表示。
2.
AIを使った環境予測:
- 特定の時刻や季節、空調条件を設定することで、素早く環境予測を生成。
- 約2,500件のCFD解析データを基にしたCNNモデルで、解析速度を通常の200分の1に短縮。
このように、AI-CFDによる室内環境の再現が可能になることで、運用改善や設備更新の意思決定のサポートが可能になるのです。
今後の展望
現在、スマート・エア・ツインはイノベーションハブにおける環境グラデーションの可視化に活用されています。今後は予測精度の向上に加え、空調制御システムとのさらなる連携を図ることで、解析結果を元にした自動制御や環境最適化を目指していきます。
イノベーションハブ本館の概要
本館は、ZEB化を目指して設計・建設された新たな施設で、さまざまな温湿度や光環境を組み合わせた「環境グラデーション」を実現しています。この施設では、利用者が多様な環境を選択できるように工夫されています。
新菱冷熱・アジアクエストの紹介
新菱冷熱は1956年の創業以来、空気調和や電気設備等の分野で多くのプロジェクトを手掛けてきました。また、アジアクエストはAI技術を駆使し、多岐にわたる業種でDXを支援しています。
この新たな取り組みが単なる技術革新に留まらず、持続可能な社会を築くための一助となることに期待が寄せられています。