ispaceと韓国企業UEL、月面探査ミッションへの道を切り開く
株式会社ispaceは、韓国の宇宙ロボティックス企業Unmanned Exploration Laboratory(UEL)との間で、月面探査車を用いた新たな探査ミッションに向けた覚書を発表しました。この調印式は、イタリアのミラノで開催されている第75回国際宇宙会議(IAC)で行われました。
覚書の内容と目的
本覚書は、将来的な月面探査ミッションにおいて、UELが開発するローバーを月面に輸送し、その技術を実証することを目的としています。合意が得られた場合、UELのローバーはispaceが打ち上げるランダーに搭載され、月面探査を実現する計画です。
この協力関係により、国際的な宇宙開発についてのテクノロジーの実証が促進され、より進んだ探査技術が開発されることが期待されています。
ispaceのミッション展開
ispaceは、地球と月の接点のシスルナ経済圏の構築を目指し、日・米・欧の企業と連携しながら宇宙開発を進めています。最初のミッション2が2024年12月に行われる予定で、続いて2026年には米国法人が主導するミッション3、2027年には日本で開発中のシリーズ3ランダーを用いたミッション6の実施を計画しています。
また、ispaceは急増する宇宙ミッションやデータサービスへの需要に応えるため、他の団体との契約も進めていく方針です。
両者のコメント
株式会社ispaceの代表取締役CEOである袴田武史氏は、「この覚書は国際的な宇宙開発における新たな実証実験の一環であり、迅速に月面での技術実証を行うための輸送サービスを提供する」と述べています。
一方、UELのCEO、Nam-suk Cho氏は、「ispaceとの協業は韓国と日本の宇宙産業全体にとって重要なマイルストーンであり、今後の月面探査の交流を促進したい」との意気込みを示しました。
UELについて
UELは韓国で唯一の宇宙ロボティックス企業であり、宇宙探査や月面環境基地の建設に向けたローバーの開発に注力しています。韓国航空宇宙研究所(KARI)との連携を通じて、急成長する韓国の宇宙産業の中でその存在感を発揮しています。2018年に設立されたUELは、今後も国際的な協力を通じて技術実証を進めていく所存です。
ispaceのビジョン
ispaceは「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続可能な世界へ」というビジョンのもと、2022年にSpaceXのFalcon 9を使用して、同社初のミッション1を成功裏に終えました。この成果を基に、ミッション2以降のさらなる探査活動が期待されています。
月探査への情熱が高まる中、ispaceとUELの提携は新たな可能性を秘めています。今後の進展に注目が集まります。