スマートシティ2024年版:私たちの都市の未来
KPMGモビリティ研究所による意識調査
最近、KPMGモビリティ研究所が発表した「スマートシティ2024年版 わが国の主要5都市における意識調査」は、都市の未来に対する住民の意識を浮き彫りにしています。この調査は、東京23区、大阪市、名古屋市、札幌市や福岡市の約2600人を対象に行われました。調査内容は、交通機関、教育、住環境、医療、エネルギー、テクノロジーなどの分野にわたる意識を調査しています。
認知度と期待感の低下?
調査によると、スマートシティという言葉を知っている住民は58%で、多くの人がこの概念を意識していることがわかります。しかしながら、そのほとんどは詳細を理解していないことが明らかです。特に「内容を知っている」と答えたのはわずか14%に留まっています。
一方で、スマートシティへの期待感は全体として低下傾向にあります。特に「雇用機会の増加」に対する期待は4.6ポイントも減少しており、住民の関心が薄れていることが懸念されます。あらゆるサービスや政策に対して「公共サービスの改善」「資源の無駄遣いの削減」「治安の改善」が求められていますが、期待の総体は確実にダウンしています。
パーソナルデータの活用と期待される分野
調査結果の中でも特筆すべき点は、パーソナルデータの活用に対する肯定的な意見が50%を超えていることです。これにより、多くの住民がデータを通じて自らの生活を豊かにする可能性を感じていることがわかります。また、期待する分野としては「医療・ヘルスケア(54.4%)」「防犯・安心(49.8%)」「防災・減災(49.0%)」が上位にランクインしており、多くの市民が生活の向上を望んでいます。
AI防犯カメラが注目される理由
生活の質向上につながるサービスとして、特に「AI防犯カメラ」が注目されています。49.1%の住民がこの技術に期待しており、セキュリティの向上が現代の都市で求められていることが示されています。対して、グリーンスローモビリティや電動キックボードなど、モビリティ関連の関心はそこまで高くはないのが現実です。これは、大都市に住む住民が交通に不満を感じていないため、一部の新しいサービスに対する理解が進んでいないことが影響していると考えられます。
スマートシティを推進するための課題
スマートシティの推進にあたっては、規制緩和やリテラシーの向上など多くの課題があります。しかし、重要なのは腑に落ちた生活の向上へとつながる取り組みであることです。デジタルテクノロジーを中心にするだけでなく、住民とのコラボレーションを大切にした施策が求められます。
結論:住民視点の都市の未来
「スマートシティ2024年版」の調査結果は、都市の未来に対する住民の目線の重要性を再確認させるものでした。生活向上のために何が求められているのか、その実現に向けて取り組むべき課題をしっかり見据えた都市づくりが今後のカギとなるでしょう。これからの社会におけるデジタル化が進む中、住民主体の施策がどのように進化するのか、大いに期待されます。